【大紀元日本4月26日】中国四川省雅安市を襲ったマグニチュード7の地震は、巨大ダムにより誘発されたものではないかと専門家が指摘している。またマグニチュード8を記録した、2008年の四川大地震も、ダムが引き金なったとの見方が出ている。
共産党機関紙・環球時報は、四川省地質鉱物資源局の范暁氏の見解を載せた。それによると、断層上に造られた大型貯水池は、 大量の落水で断層を圧迫するため、地震を誘発する恐れがあるという。
また、高さ100メートル以上、貯水容積10億立方メートル以上の大型水力ダムが地震を誘発する確率は30~40%に上ると范氏は推計している。20日に地震のあった雅安市盧山県から約130キロ離れた場所にある、長江上流に建設された瀑布溝ダムは、高さ186メートル、容積53億9000万立法メートルと、上述のレベルをかなり上回る。
中国政治社会評論家の戴晴氏は、「長江三峡の上流地域に造られたダムが貯水や放水を繰り返すことで、数億トンもの水の圧力の変化が起こる。これらは地震を誘発し、断層活動にも影響を与える」と范氏を後押しする。
2011年、中国の地質学者が行った研究によると、長江上流に建てられた世界最大の水力発電施設・三峡ダムにより、およそ3000件の地震、多数の地滑りが引き起こされ、地震活動がダム建設前の30倍になったことが明らかになっている。 2008年の四川大地震は、震源地5キロ未満に位置する紫坪鋪ダムが誘発した可能性を指摘する専門家もいる。
死者・行方不明者は200人以上と報じられている今回の四川省雅安市の地震は、7万人近くの死者を出した2008年の大地震同様、龍門山断層線沿いで発生した。この断層は、チベット高原と四川盆地の間を走る竜門山山脈の下にある。范氏は、今回の地震は「2008年の大地震の余震」と推測する。
民間地質学者の呉健氏は今回の地震の発生について次のように分析する。「ユーラシアプレートとインドプレートが衝突し、インドプレートが南から北に向かってユーラシア大陸を押し出す。龍門山を通ると方向を変え、西から東に向かって四川プレートを押し出す。このようなエネルギーの転換により、龍門山の断裂帯で地震が発生した」。さらに雅安から南下し、雲南省地方へ震源は移動していくだろうと予測する。
しかし、 中国地震台網センターのジョウ・ベンガン氏は「今回の地震は断層線の南で発生しており、2008年の汶川地震は断層線の中心部で発生している」と指摘。震源地が85キロ離れた2つの地震には関連性はないと環球時報で否定している。
中国共産党政権は、今後数年にわたり、チベット高原などにあるこれらの断層線に沿った河川上にさらに多くのダムを建設していく予定だ。
米ミズーリ大学のミアン・リウ教授は『ニュー・サイエンティスト』に対して、一つの地震が、近距離でのもう一つの地震の引き金となる可能性を指摘し、2008年の地震は、今後50年以内にまた大型地震が発生する可能性を高めたと語っている。