【大紀元日本5月11日】中国ネットユーザーのユーモアはどこの国にも負けない。「親切にもてなし 礼儀正しく陳情」「人民のために 命を惜しまず」などの標語を掲げたホワイトハウスのオバマ執務室が、中国の国家陳情局となってしまった。そしてオバマ氏は陳情局主任に。
最近、「越境陳情」「越境請願」が中国でブームになっている。ホワイトハウスのオンライン請願プラットフォーム「We the People」は、ネットユーザーにとって願ったり叶ったりのサイトだ。中国で制圧されている陳情者にとって、このプラットフォームは正義を求める最後の望みとなっている。ネットユーザーらは、ホワイトハウスを国家陳情局、オバマ氏を国家陳情局主任だと揶揄し、新浪微博(ミニグログ)では「奥巴馬(オバマ)主任」のアカウントまで開設された。
請願の内容は、洒落や鬱憤晴らしから、切実で命がけのものまで様々だ。「派兵して中国人民を開放せよ」「豆腐花(固まりかけの豆腐)に掛けるタレのスタンダードは醤油味にするか黒蜜風味にするか決めよう」「昆明PX(石油製品パラキシレン)プロジェクトを中止させよ」などと、オバマ政権に無理矢理「内政干渉」をさせようとするものが書き込まれている。
30点xun_ネ内に10万人の電子署名を集めれば、米国政府は請願の対応にあたると同サイトは約束している。今月3日に発起されたある請願はすでにこのラインを軽く超え、わずか1週間ですでに14万人以上の署名が集まっている。
この請願は、中国の名門校、清華大の朱令さんが、1994年の在学中に重度のタリウム中毒に陥ったという19年前に起きた未解決事件に関するもの。何者かが彼女に毒を盛ったとされていた。まもなく、朱さんの同級生でルームメイトの孫維さんが被疑者として挙げられたが、孫さんには「確かな証拠がない」という理由で釈放。同時に孫さんの家族背景が注目された。政府高官の祖父や父親、叔父をもち、特に祖父は江沢民元国家主席と親密な関係にあり、釈放に影響力を及ぼしたのではと人々は疑惑を持つようになった。しかし、事件は迷宮入りとなった。
封印されたこの事件は、19年経って突如、海を超えてWe the Peopleに現れた。請願は、現在米国で暮らす容疑者、孫維さんに対する調査と国外追放を要請している。
この請願は今、世界の注目を集めている。中国国内でも事件が蘇り、関心の的となっている。
We the People上の請願の発起人は、朱さんの民間サポーターか、民間人を装った政治内部の関係者なのかは定かではないが、ホワイトハウスへの陳情が事件を動かすきっかけの1つになったことは間違いない。
法治の実現を掲げる習近平政権だが、当局の不正や当局による不当な待遇を訴える陳情者への取り締まりの手は緩められていない。We the People以外にも、北京に駐在する外国メディアが陳情窓口となりつつある。ボイス・オブ・アメリカ(VOA)によれば、同社を含めた駐北京メディアの電話番号、ファックス番号を陳情者に売るブローカーまで存在し、番号1件が百元(約1600円)に値するという。