長江の最大支流・漢江の川床、2013年4月 (Photo:AFP/Getty Images)
【大紀元日本5月17日】英紙フィナンシャル・タイムズの最近の報道は、中国の水資源不足による経済成長への深刻な影響を指摘した。
同紙は甘粛省民勤県に住む63歳の王富国(音訳)さんの実例を取り上げた。先祖代々農業で生きてきた王家は、次の代は家業を受け継げないという。「5日間に一回、1時間の水供給しかない」からだ。
王さんの子供や孫はみな、村から引き揚げた。農作物と家畜を育てるどころか、人間が生きていくにも過酷な環境だ。
村を去ったのは王さん家族だけではない。すでに1万人あまりが引っ越したという。中国ではこのような人たちを「生態移民」と呼ぶ。
中国は水不足大国
「中国の経済成長と高まる影響力が注目される中、水不足大国であることはあまり知られていないようだ」。フィナンシャル・タイムズはこう指摘する。
中国の1人当たりの水資源量は約2000立方メートルで、世界平均の4分の1しかない。
国際基準では、1人当たりの水資源量が3000立方メートル以下は軽度の水不足、2000立方メートル以下は中度の水不足、1000立方メートル以下は重度の水不足、500立方メートル以下は極度の水不足。
この基準と照合すると、中国31の行政区画(省・自治区・直轄市)のうち、16の区画は「重度の水不足」、ほか、6つの区画(寧夏、河北、山東、河南、山西、江蘇)は「極度の水不足」となっている。
水資源の問題は、中国経済の持続的成長にブレーキをかけている。世界銀行の報告書によれば、水資源問題により、中国は国内総生産の2.3%を失っている。一方で、経済成長は水汚染を加速させ、水不足に拍車をかけるという悪循環が作られている。
「中国は水資源問題を解決しなければ、指導部が掲げている『中国ドリーム』の実現は極めて困難であろう」。同報道の最後はこう締めくくった。