【大紀元日本5月28日】中国では近年、あるビジネスが盛んである。顧客の依頼でインターネット上の不利な書き込みを削除するという中国ならではの商売だ。汚職幹部や業者、有名人からの依頼が殺到しているという。英紙サンデー・ テレグラフが26日付の記事で伝えた。
同紙記者の取材を受けた、幹部の腐敗を取り締まる中央紀律検査委員会の関係者の話によると、今年に入ってからの汚職事件の42%は市民からの告発がきっかけで発覚し、その多くはネット上での告発だという。
「特定の幹部の汚職情報はネットで瞬く間に知れ渡るため、指導部も押されて調査に着手するしかない。そのため、汚職幹部たちはネット告発を非常に恐れている」という。
報道は、この裏ビジネスで大儲けしている大手PR会社「雅歌時代」を取り上げた。同社関係者は記者に対し、「どんなに深刻な情報でも、いかに敏感な出来事でも、われわれの手にかかれば消える」と意気揚々に語った。
その営業マンは各大手ポータルサイトでネタとなる書き込みを見つけ出しては、関係者にアプローチし、「手助け」を申し出るという。
いま中国では、汚職幹部、闇業者、スキャンダルに晒された有名人を相手に、「ネット情報のトラブルを解消する」と売り込むこの手の会社が数多く存在し、ネットで検索してみたところ、30数社がリストアップされた。
大手ショッピングサイト「淘宝網」に出店し、「Geshigoufang」というユーザー名で事業展開する闇のPR会社の代表も取材に応じた。直近の30日間で、313人の「顧客」がいたと話す彼。「我々はブログや、掲示板、ニュースサイト、ミニブログ(微博)など至る所であなたの名誉を回復する」「(大手政府系サイト)人民網または新華網の情報取り下げ価格は若干高い、約1.3万元(約21.5万円)だ」と説明した。
同業の「光明之源」社も非常に景気がいいようだ。同社の関係者は「会社、個人、政府も我々の力で危機管理を行っている。不利な書き込みを削除するのはグッドアイデアだ」とまったく罪悪感がない様子だ。
同報道によれば、これらの企業は、サイトの管理者または情報検閲を主管する当局の幹部を賄賂などの手口で、関連情報を取り下げてもらう。大手ポータルサイト「捜狐網」の匿名編集者は「メディアの規模に応じて、値段交渉が行われている」と漏らした。
国内ニュースサイト「財新網」によれば、前出の「雅歌時代」の昨年の純利益は5千万元(約8.25億円)を超えた。顧客の6割は地方都市在住者で、中には警察関係者や政府幹部も含まれているという。