【大紀元日本6月7日】黒龍江省にある食糧備蓄庫で5月31日、火災が発生した。倉庫側は、火災の原因について、「配電盤のショート」であると発表しているが、世間やメディアからは、火災は食糧備蓄に絡んだ汚職の証拠隠滅のための放火によるものではないか、と疑惑の目が向けられている。
火災が発生したのは、中国国有食糧備蓄企業・中国儲備糧管理総公司(以下・中儲糧)直属の黒龍江省林甸倉庫である。同倉庫は敷地面積が22万平方メートルで、火災発生時の備蓄食糧は14万トンだとされている。
火災原因に対する不信感は火災発生のタイミングによるものが大きい。火災発生の4日前、5月27日、腐敗を取り締まる中央規律検査委員会の監察チームが中儲糧に入り、査察をはじめたばかりであった。それまでに、国家審計署(会計検査院に相当)が中儲糧の帳簿外倉庫の存在を摘発しており、しかも、その直属倉庫は「独立法人であり、権限が非常に大きいために管理監督をあまり受けておらず、好き勝手にやっている」と政府系・光明網は火災後に指摘した。同サイトはさらに、「中儲糧に潜む大ネズミと米虫を探し出すべきである」と、火災と腐敗の関係をほのめかした。
新華網も3日、「中儲糧の火災は、朱鎔基元首相が騙された昔のことを思い出させた」と題する記事を掲載し、火災原因の真否に疑問を呈した。1998年5月、現地当局は、安徽省にある食糧備蓄庫を視察した当時の朱鎔基首相を騙すために、各地から食糧を調達し、空っぽの倉庫を満杯にして粉飾していた。今回の火災も、視察チームを騙すための工作ではないかと不信の目を向けのだ。
同サイトはこの日、火災原因について、ほかにも数篇の報道を掲載し、「明確な答えと真相開示が必要だ」と主張し「本物の刀と銃を持って、虎(腐敗の大物)を退治しなければならない」と厳しく追及した。
北京の人気紙・新京報はさらにこの日、「中儲糧火災と監察チームの査察、両者に関連はあるのか」と核心を突く社説を掲載。今回の火災に不透明な点が多いと指摘した上で、「国民に対して、政府は筋の通った説明を発表すべきである」と強調した。
火災のタイミングに加え、発表された火災による直接被害額も大きく矛盾している。3日の政府系メディア3社の発表によれば、人民網は中儲糧の報告として307.9万元と報じているが、新華網は1億元を超えると報じた。中央テレビCCTVは午後1時の時点で1億元近い損失と伝えたものの、2時間後には8000万元と下方修正をした。「倉庫側は損失額を調整することで備蓄量をごまかすことができる」と時事評論家の林亦鋒氏はこのように分析した。
各主要政府系メディアが6月3日に報道した火災の直接損失額は、4社とも異なっている。