【大紀元日本6月12日】米国家安全保障局(NSA)が、米国民の通話記録および非米国民のインターネット上の情報を入手していたことが先週、暴露された。告発した元中央情報局(CIA)職員のエドワード・スノーデン氏が香港に渡航したことなどから、氏は中国政府のために働いたのではないかと疑問視する声が出ている。
9日、元CIA工作官のロバート・ベア氏はCNNのニュース番組の中で、スノーデン氏の暴露は「中国のある種の関与を匂わせている」と指摘。アイスランドなどへの亡命を希望しているスノーデン氏は、身の隠し場所として香港を選んだことは不自然であり、「まるで中国政府のために働いているようだ」とベア氏は話す。
「このタイミングでこういった暴露をするのは、米国の名誉を汚すことが狙いであることは明らかだ。この前の米中首脳会談において、オバマ大統領が中国のサイバー攻撃を叩いたとすると、習近平主席は反撃するだろう。米政府も同じ仕業をしているのではないか、と」
ベア氏はまた、スノーデン氏の引渡しを悲観視している。「中国は永遠に私たちに彼を引き渡すことはない」。今後の行方についても、ベア氏は「彼はそこで消えてしまうのだ」と予測。その言葉の通り、スノーデン氏はその後、潜伏していたホテルをチェックアウトし、行方が分からなくなっている。一方、暴露記事を最初に掲載した英ガーディアン紙によると、スノーデン氏は「まだその地域にいる」という。
スノーデン氏の暴露は、中国政府にとって都合の良いことであると中国国内の専門家らもみている。ジャーナリストの安替氏は、米海外向け放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の取材で、「中国政府に有利だ」との見解を示し、「政府は強気になるはずだ。『ほら、われわれの言う通りだろう。どこの国も同じだ。ネット検閲にはもう文句言うんじゃない』」と不本意な展開になることを懸念した。
香港大学法律学者の楊艾文氏も「この問題は北京政府に強みを持たせることになる」と分析。中国のインターネット検閲や情報統制などに対する批判を交わす盾になる可能性を指摘した。
ニューヨーク・タイムズ紙は、スノーデン氏が把握する米政府機関の情報や、香港や中国に拠点を置くスパイの情報などは中国に有利であり、これらの情報を「中国の諜報関係者は得ようとするだろう」と報じた。