【大紀元日本6月14日】中国政府当局は8日と9日、相次いで発表した5月の主要経済指標が弱いことから、中国経済鈍化が当面続き、第2四半期(3~6月期)の国内総生産(GDP)伸び率は楽観視できないとみられる。
中国国家統計局が9日に発表した5月の中国経済指標によると、5月の消費者物価指数(CPI)は事前の市場関係者の予測2.5%上昇に対して、前年同月比で2.1%の上昇となった。また同月の生産者物価指数(PPI)は同2.9%低下で、昨年9月以降最大の下げ幅となった。PPIのマイナス成長は15ヶ月連続となっている。内需の低迷および過剰生産がPPI指標の低下の主因だとみられる。CPI伸び率の低下およびPPIのマイナス成長は、中国経済が現在デフレ傾向が強まっていることを示唆している。
一方、人民銀行(中央銀行)の発表によると、5月末時点の広義マネーサプライ残高は104兆2100億元(約1563兆1500億円)で、前年同月比で15.8%増となった。5月の新規人民元建て貸出額は6675億元(約11兆125億円)で、同1258億元(約1兆8870億円)の減少となった。新規貸出額の減少からみると、企業の融資需要が低下していることを読みとれる。中国当局がさらなる金融緩和政策を採れば、遊休資本がさらに急増して、結果的に不動産市場などに流れ、不動産価格や商品の価格を押し上げることに繋がるため、中央銀行は金融政策においてジレンマに陥っている。
さらに5月の貿易統計が中国経済減速の深刻さを裏付けている。中国税関当局が8日に発表した貿易統計によると、5月の中国輸出入総額は2兆1500億元(32兆2500億円)に達し前年同月比で0.4%増に、そのうち輸出総額が1兆1400億元(約17兆1000億円)で、前年同月比で1%増となる。輸入は1兆100億元(約15兆1500億円)で同0.3%減、貿易黒字は1278億4000万元(約1兆9176億円)。5月の輸出の伸び率は4月の14.8%増から1ケタに激減し、昨年7月以降最低。中国商務部がこのほど発布した『中国対外貿易情勢報告(2013年春)』では、欧米など海外市場の経済状況に大きな変化がない限り、今年、中国輸出入も大きく回復することがないとし、この影響で輸出企業、特に中小輸出企業の経営難問題が依然として突出していると示した。