米政府による個人の通信情報の収集活動を暴露した米中央情報局(CIA)の元職員のエドワード・スノーデン氏の中国当局との関係が、米政治家や情報機関に注目されている。
米下院国土安全保障委員会元議長のピーター・キング共和党議員は14日、ニュース専門局MSNBCのインタビューを受けた際、「暴露の動機を疑うには多くの理由がある」と指摘した。「彼は金を中国に移していた。彼は中国語を勉強していた。彼のガールフレンドは中国と関連がある。彼は世界中の国から中国を選び、オバマ大統領と習近平主席と会談した週を選びリークをした。そして彼は今、中国にいる」
キング議員は、これらの不審点を挙げ、「確かな証拠はまだないが、入念に調査しなければならない」と述べた。
米下院情報特別委員会のマイク・ロジャース委員長(共和党)も13日、同委員会は情報機関と協力し、スノーデン氏と中国のつながりについて「徹底的」に調べていると説明した。「彼の動機やつながり、彼はどこに行き、なぜそこなのか、そこでどうやって生計を立てているのか、中国政府が全面的に協力しているのかをもっと調べる必要がある」とワシントンで記者団に対して語った。
中国との接点が疑われるのは、暴露のタイミングと場所にある。スノーデン氏は5月下旬すでに香港入り。英紙ガーディアンが最初に匿名で問題を表面化したのは6日で、中国のサイバー攻撃が焦点となる米中首脳会談の直前。そして、7日、8日の会談が終了した翌9日に、スノーデン氏は告発者として名乗り出た。ブッシュ前大統領の上級顧問を務めた米ジョージタウン大非常勤講師のブラッドリー・ブレイクマン氏はこの点について、「習近平主席がスノーデン氏の香港滞在を知らなかったとは考えにくい」と分析した。
スノーデン氏が滞在先に香港を選んだことについて、ガーディアンに「言論の自由があり、政治的に異議を唱える権利もあるため」だと述べており、さらに、中国の人権状況を信頼しているとも話した。これについて、チェイニー前米副大統領は16日、「中国は普通、自由を求める人間が行きたがる場所ではない」と指摘。「事前に中国側と何らかの接点を持っていたのでは」と不信感をあらわにし、中国側はすでに、スノーデン氏が公にしていない情報も入手した恐れがあると懸念を示した。
一方、中国国内では、人民日報系の環球時報が14日、「スノーデン氏の暴露は中国国家利益にかかわる」と題する社説を掲載。「スノーデン氏は自ら、米政府が香港や内陸をハッキングしていることを暴露した。これは中国国家利益にかかわる問題だ」と主張。「彼はもしかして、もっとたくさんの証拠を持っている。中国政府は彼に、それらを全部言わせるべきだ」と、スノーデン氏の情報を米政府との「公の交渉と内部交渉」両方の切り札に使うべきことを強調した。
同紙は17日にさらに、「スノーデン氏を引き渡したら、香港も内陸も恥をかくことになる」との社説を発表。「スノーデン氏を引き渡せば、人々の不満を招くことになり、信用をおとすことになる」と世論を前面に、スノーデン氏を中国にとどめる必要性を論じた。