【大紀元日本6月27日】カナダでは近年、中国人が農地を大量に購入している。この投資現象について、中国当局が裏で資金供与して操作しているのではないかとの見方が浮上。近い将来、カナダの農民が農業の主導権を握れなくなることも憂慮されている。
カナダ中西部に位置するサスカチュワン州は、農地面積が全国の45%を占めるほどの「カナダの食糧倉庫」。同州オゲマ村の地元農民の話によれば、大量の新移民による土地購入により、昨年、農地の平均価格が約10%上昇。中国人移民の密集地では、過去3年間で50%も値上がりしている。
同州の法律では、10エーカー(約4.0ヘクタール)以上の土地購入は土地への投資行為と定められ、カナダ国籍保有者と外国人永住者に限定されている。また、農業企業の所有権については、100%カナダ国籍保有者に限っている。
同州の当局者はAFP通信の取材に対して、6、7社の大型投資企業が州内の土地を大量に購入していることを明らかにした。「これらの会社が中国当局と連携しているかはまだ判らない。保有する土地の規模も把握できていない」。同州は昨年からこれらの企業の資金源等を調査し始めたという。
州農業庁トップのライル・スチュアート氏によれば、すでに2、3件の疑惑のある投資案件を突き止め、いまは調査を進めているという。同氏は、中国国有企業がアルバータ州の石油鉱業資源を大々的に開発していることを例に挙げ、「わが州の格安の農地も中国当局に狙われているかもしれない」と話した。
同州の農地を買いあさり、急速な発展を遂げている投資会社Maxcrop社のオーナーで39歳の中国人移民アンディ・フー(Andy Hu)さんは、2004年にカナダに入国。2009年に同社を設立し、いまでは約3000ヘクタールの土地を保有しており、現地の農民に貸付して耕作させている。
先祖から4代にわたり農業に携わってきた地元のカナダ人農民、34歳のレオナルドさんは、「この類の土地投資により、地元の若い世代の農民は自分の農地を持てなくなった」「もしかして、地元の人々は将来新移民の雇われ農民になるかもしれない」と憂慮を隠せない。