【大紀元日本7月3日】中国新疆ウイグル自治区公安庁は2日、殺人や放火、爆発物製造などの「テロ活動」を行ったとして、ウイグル人11人を公開指名手配するとの通知を出した。200人近くが死亡したとされる2009年7月5日の区都ウルムチでの大規模抗議事件から4年となるのを前に、中国当局は「テロ勢力」の取り締まりに躍起になっている。
指名手配されたのは、6月末に起きた数件の大規模衝突の参加者のほか、これまでに報じられなかった2011年6月の殺人事件(ホータン市)や、2012年6月の爆破事件(ホータン市)などにさかのぼり、計11人のウイグル人である。拘束につながる情報提供者には、最高10万元(約162万円)の報奨金を出すことも明記されている。
197人が死亡した(当局発表)新疆7・5抗議事件から5日で4年となるのを前に、当局は治安の維持に神経を尖らせている。6月28日、習近平国家主席が主催した政治局常務委員会議の後、常務委員の兪正声全国政治協商会議主席や政治局員の孟建柱政法委書記らは翌29日に新疆入り。兪氏は「暴力、破壊、略奪、放火などの犯罪行為は法に基づいて厳罰に処する」などと地元の党幹部らに指示し、最近の衝突が大規模事件に発展することへの危機感をあらわにした。
一方、新疆入りした孟氏は29日ウルムチ市で、武装警察隊の対テロ・治安維持決起集会に出席し、「新疆テロ勢力は全国人民の敵だ」と強調し、取り締まりの強化を訓示した。集会には1万人以上の警察が参加し、小銃を抱えた警察官らを載せた軍事車両や装甲車が隊列を組んで会場に並んだという。ウルムチ市のほか、ホータンやイリ、カシュガル、アクス地区でもこの日、同様な決起集会が行われ、新疆各地で今後しばらく、厳戒態勢が敷かれることが明らかになった。
さらに1日には、自治区党委は、区内各部署に務める50人の幹部を50の「敵・社会状況」の複雑な地区に派遣することを決めた。派遣幹部らは▼党の民族政策や宗教政策、法律法規▼団結安定は福であり、分裂動乱は災いであること▼中央の気配りと重視、などを宣伝することが任務とされている。
ウイグル人亡命組織「世界ウイグル会議」(本拠地ドイツ)は、北京政府が「テロ脅威」との口実でウイグル人を抑えこむことはすでに常態化していると批判。シンガポールの政治的暴力・テロリズム研究国際センターのロハン・グナラトナ所長はAP通信の取材に、新疆の衝突はウイグル人の北京の圧政に対する怒りによるものだと指摘。「政府の強硬姿勢は、(ウイグル人の)分裂主義組織への参加を促す可能性がある」との見解を示した。