【大紀元日本7月6日】中国政府系シンクタンク国務院発展研究センターの劉世錦・副主任は6月30日、同日に北京で開かれた「中国将来のチャンスと挑戦」と題した学術フォーラムにおいて、中国の国内総生産(GDP)の伸び率は下降傾向にあり、2020年には年間GDP伸び率が6%台に低下するとの見方を示した。
劉副主任は「中国経済はGDP伸び率10%という『とても早い増長期』から現在『やや早い
増長期』に移った。今年と来年の増加率は7%~8%の間で推移し、2015年には7%あるいは7%を下回り、さらに2020年には6%に低下する」と話した。
一方、中国当局が発表した貿易統計や生産活動などの5月の経済指標が弱いものから、ゴールドマンサックスやHSBC銀行などの海外大手金融機関が中国の2013年および14年のGDP伸び率の見通しについて相次いで下方修正した。
その中でも6月26日、クレディ・スイスは、中国経済の成長率は6%台に直ちにではないが低下していくだろうとの見方を示した。同社は労働人口の減少、インフラ投資建設水準が過去最高となったこと、住宅市場におけるバブルなどの理由のほかに、共産党政権の新指導部が経済の高成長よりも経済構造改革や成長モデルの転換への優勢度が高いことを挙げた。
ゴールトマンサックスも6月上旬に発表した研究レポートにおいて、中国GDP伸び率は将来7年に年間平均6%に低下するとした。また、中国政府が経済成長率7.5%との目標を設定しているが、新指導部が成長率が7%台に低下しても容認する態勢ができているとした。
しかし、英紙フィナンシャル・タイムズの経済部主筆コメンテーターのマーティン・ウルフ(Martin Wolf)氏はこのほど、中国経済成長率が年間6%台に移行する前に、多くの問題に直面すると分析している。
ウルフ氏は「中国経済、高まるハードランディングの危機」を題した論説(フィナンシャル・タイムズ7月3日付)において、在庫投資、固定資産投資を大幅に減少しなければならないことや、投資減少によって需要および生産活動の減退で企業収益が大きく低迷することに言及。また収益の減少で投資が一段と減少することや経済成長率の低下で企業のバランスシートの状況が悪化し、不良債権の急増につながると指摘した。
またウルフ氏は、ジェローム・レヴィ経済予測センターのデビッド・レヴィ氏が発表したレポートの一部を引用し、新指導部は片方のエンジンがうまく機能しないジャンボ・ジェット機のような中国経済を立て直し、無事着地させようとしているが、市場がこれほど大きな変化にスムーズに対応できる可能性は低いと解説した。