【大紀元日本7月29日】中国の検察当局は25日、重慶市元トップの薄煕来を正式起訴した。薄被告は収賄、横領、職権乱用の罪に問われているが、専門家らは「最も重大な犯罪事実を伏せている」とし、同被告への処分をめぐって政権内部で駆け引きが行われていると指摘した。
検察当局は薄被告について、「収賄や横領した金額は非常に巨額で、職権乱用により国家と人民に重大な損失を与え、罪状は特に深刻だ」と指摘した。初公判はまもなく山東省済南市中級人民法院(地裁)で開かれる見通し。
大紀元時報が入手した情報によれば、メディアを統括する中央宣伝部は国内各メディアに対し、今回の起訴の報道自粛を命じたという。
薄は江沢民元主席が起こした法輪功弾圧に積極的に参加し、元主席の腹心とされている。昨年秋に行われた政権交代では、薄は江一派の後継者として中央政法委のトップの座に着く予定だった。しかし、元側近で重慶市の元副市長だった王立軍の米総領事館駆け込み事件をきっかけに、薄被告は失脚に追い込まれた。
王は当時、米国側に薄の「政変計画と臓器狩り」に関与した証拠を渡した。政変計画とは、江一派が習近平新政権の主導権を握るため、政権発足後に習政権を転覆させ、薄に主席の座を継がせるという計画。臓器狩りとは、薄一族が関連当局と結託し、監禁中の法輪功学習者の臓器を奪取、密売し、巨額な財を築いたという組織ぐるみの犯罪。
中国問題専門家は、薄被告は中国当局にとって「いつ爆発するかわからない爆弾である」と例えた。
中国当局はこれまでに、政変計画と臓器狩りの問題にまったく触れていない。「政権を存続させるため、当局は薄事件の最も肝心な部分を隠し続けるはず」との専門家の見方は根強い。
米国在住の中国問題専門家・石蔵山氏は「指導部が頑として封じ込みたいのは、臓器狩りの真相だ。薄が陣頭指揮を執るもとで、公安、病院、司法が組織ぐるみとなって展開してきたこの国家犯罪は、様々な深刻な社会問題に強い不満をもっている国民に知られてしまうと、政権の正当性が根幹から崩れ、崩壊へと一直線に導かれるであろう」との認識を示した。
「薄事件をめぐっては、習政権は共産党政権の存続を最優先にして、その臓器狩りの犯罪を伏せている。その一方で、このことで法輪功弾圧の責任追及をもっとも恐れている江沢民をけん制し、政権から排除しようとしている」と専門家はその裏を分析した。
中国の著名ジャーナリスト、政治評論家で作家の高瑜氏はBBC中国語版の取材で、当局が発表した薄の容疑は政治的な判断の結果だと指摘し、「意図的に内部の対立を隠した」とその容疑は起訴状の記載に止まらないことを示唆した。
石蔵山氏は、「江一派が政権から完全に退ければ、法輪功弾圧を含めて、その一連の悪事の真相が必ず次第に明らかになる。そうなると、中国社会に衝撃的な変化が訪れるに違いない」と中国共産党政権はいずれ崩壊に向うことを予測した。