【大紀元日本8月19日】中国農業部は16日、長江上流の生態に関する調査報告を発表した。発表会で長江漁業資源委員会弁公室の趙依民主任は「長江の生態はすでに崩壊している」と指摘し、過度な水力発電開発が原因としている。
同調査は世界自然保護基金(WWF)が中国科学院、復旦大学などの専門家と共同で行ったもの。金沙江など長江の上流で実地調査を実施し、自然環境と人的要素が及ぼす影響を調べた。
報告書によると、1950年代にあった300億匹の稚魚は1億匹以下に激減したという。長江の上流にはかつて175種類の特有魚類が生息していたが、すでに半数以上が姿を消した。以前、金沙江流域で143魚種を確認できたが、今回の調査チームは3回の魚類調査で17種類しか採捕できなかった。
魚類の激減について、趙主任は過度な水力発電開発が原因だとみている。ダムの建設で魚類の生息地と遡上ルートが破壊され、河の水温が低下するなど生態系に大きな影響を与えた。さらに違法な漁獲も拍車をかけ、多くの魚種が絶滅の危機に晒されている。
現在、金沙江流域で25の水力発電プロジェクトが進んでいる。その半数はすでに建設され、または運転を開始している。
また、赤水河は長江上流で唯一、ダムを建設していない河で、水生生物の重要な生息地と産卵地となっている。しかし、今年9月にはこの「最後の浄土」で深水航路の建設が着工される。
長江の厳しい局面に専門家は赤水河、通天河などの支流に魚類保護区を設立することを提案し、長江全流域に10年間の禁漁が必要との見方を示した。
(翻訳編集・高遠)