【大紀元日本8月20日】広州市と深圳市を結ぶ広深高速道路の防音壁に手抜き工事の疑惑が浮上した。19日、建設に関わった女性が深圳市当局に告発し、工事責任者である元夫の手口を暴露した。広州紙・南方都市報が20日に伝えた。
手抜き工事の疑いがあったのは同高速道路が深圳市福田区を通過する区間。工事の建設現場で働いていた女性によると、元夫は2009年に同区間の防音壁の杭基礎800本の施工を請け負った。「以前から手抜き工事を繰り返してきたから、やり方を良く知っている」という。
女性は同紙の取材にその数々の手口を暴露した。検査を避けるため、手抜き工事は主に夜間に行われていたという。現場監督などの関係者を宴会に誘い出し、工事現場に誰もいない状況を作り出すなど事前に周到に段取りしていた。手口は昼間に組まれた鉄筋を抜き取るという大胆なやり方。一つの杭に通常32本の鉄筋が使われているが、その半数が抜かれるという。
鉄筋を抜いたあと、すぐにコンクリートを流し込む。検査に引っかからないようにまだ固まっていないコンクリートに長さ30センチほどの鉄筋を差し込み、外から見る鉄筋の本数は32本のままだ。
この作業は現場作業員ではなく、臨時的に雇った人に従事させていた。女性は取材記者の前で実際に作業した人に電話をかけ、「1人に300元(約4800円)が支払われた」との証言を得た。
女性によると、元夫は800本の杭のうち、600本の杭から鉄筋を抜き取り、数十万元の利益を得たという。
手抜き工事は鉄筋の抜き取りにとどまらず、杭の深さも足りない。深さ6メートルあるはずの杭は5メートルしか掘られていない。検査をすり抜けるため、穴の深さを量るメジャーに小細工を施した。メジャーの一部を切り落としてもう一度繋げば、長さは短くなり、疑われることはない。
女性は元夫の不倫を理由に今年に入って離婚したという。
防音壁の基礎に問題があれば、崩落する危険性があるとして、深圳市当局は今後、調査に乗り出す方針だ。