【大紀元日本8月26日】中国当局は元重慶市トップ・薄煕来被告の裁判にあたり、中国版ツイッター・微博で法廷の模様を「実況中継」している。しかしこの中継には一部、手を加えられていることが疑問視されている。また、裁判の進行によって、起訴内容がより敏感な案件に広がる可能性が指摘されている。
25日の微博の中継では、薄被告は、重慶市公安局長だった王立軍受刑者について「(米総領事館への)逃亡は極めて悪質な影響をもたらした。昨日、彼(王)はそれが逃亡ではなく、手続きを踏んだ正常な外交だと言い逃れをした」と話したことが記録されている。だが、その前の王受刑者の発言中継には、同内容は記録されていない。「実況中継」のはずだったのが、「選択的中継」になっているとネットユーザーらは疑っている。
中継ではまた、薄被告が「その時期、私には愛人がいた」と発言したことが記録されているが、ユーザー「記者の家2013」が傍聴席からの証言として、薄被告は実際、「その時期、谷(死刑囚)は私に愛人がいると疑っていた」と話していたと暴露した。
薄被告の起訴内容に、英国人実業家のニール・ヘイウッド氏が薄瓜瓜氏に1400万ポンドの仲介費を要求していたことが含まれているが、仲介費は利益の1割以下という慣例から、薄家はこの件だけでも1億4000万ポンド(約215億円)以上の暴利を得ているとも指摘されている。検察がこの点を追及しないのは「故意に見逃したのでは」とユーザらは不信感を顕にしている。
国務院弁公庁(事務局)の元秘書・兪梅ソン氏は米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に対し、今後起訴内容がさらに広がる可能性があることを指摘した。薄裁判で指導部は2つの手を用意したと兪氏。ひとつは今の起訴内容で裁判を強行。もうひとつは他のより敏感な案件を持ち出すことだ。「政変や臓器狩りなどの大罪だ。これは新たな戦いになるだろう」。兪氏は、薄被告の全面否認で、指導部が2つ目の手を打つ可能性は出ているとし、政変計画や法輪功学習者への臓器狩りを起訴内容に追加し、薄被告を追い込む道筋が用意されているとの見方を示した。
「これは江(沢民)にも響くことだ。北戴河会議に江沢民が顔を出したのはこの件のため」。兪氏はこのように分析し、「これらの大罪(政変や臓器狩り)は当局(派閥)全体でやったことだ」と指摘した。
1つ目の手では薄被告の反撃で判決が困難になり、江沢民派閥の復活が可能な事態に。2つ目の手では臓器狩りの暴挙が世に明かされ、共産党政権の残虐さが知れ渡ることに。薄被告の全面否認は、指導部が抱えるこのジレンマを見透かした出方にも見受けられる。