S&P 中国銀行セクターの3大リスクを警告、バンカメ出資撤退

2013/09/09 更新: 2013/09/09

【大紀元日本9月9日】米格付け大手スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は9月3日に発表した『中国50大銀行に関する報告書』で、中国の銀行セクターには輸出低迷、過剰生産能力および地方政府負債問題の3つのリスクが目前に迫っていると警告し、中小金融機関が真っ先に破産するとの見通しを示した。(Emmanuel Dunand/AFP)

同報告書は、中国銀行セクターは将来2~3年間において、この3つのリスクの拡大により不良債権が急増する恐れがあるとし、銀行セクターの信用評価に極めて大きな圧力をもたらしており、格付けを引き下げることを示唆した。

また同報告書は、不良債権の急増で一部の中小金融機関が真っ先に破たんに追い込まれるため、今後銀行および金融機関の業界再編が加速するだろうと予測した。

S&Pは過去4年間連続して中国主要銀行50行の対象に調査を行ってきた。今年の調査では、3行の政策銀行(中国政府によって設立され、政府の産業政策や地域発展政策などを徹底的実行されるように、政策にかかわるプロジェクトへの貸付を主要業務とする銀行)を新たに加え、5大国有銀行、12行の株式銀行および30行の資産規模の比較的に大きい商業銀行と農業銀行を対象に調査を行った。

S&Pが改めて中国銀行セクターへの懸念を示した一方で、米銀行大手のバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)は同日香港市場で、所有する中国建設銀行のすべての株である20億株を15億ドル(約1485億円)で売却し、建設銀行への投資を完全に引き揚げた。バンク・オブ・アメリカは米投資銀行大手ゴールドマン・サックスに次ぎ、中国銀行セクターへの出資を撤退した2つ目の欧米金融大手だ。ゴールドマン・サックスは今年5月に工商銀行の株式をすべて売却した。

銀行セクターにおける不良債権急増のリスク拡大のほかに、中国景気回復力の弱さや膨大な地方政府負債、また不動産価格抑制政策を実施すればするほど高騰する不動産バブルなどが、欧米金融大手が中国から撤退する主因とみられる。

(翻訳編集・張哲)

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