【大紀元日本10月15日】中国の経済誌「財経」はこのほど、裸官に関する報告書をまとめ掲載した。ここ20数年間で逮捕された59人の裸官が数十億元(数百億円)を海外に持ち出したことや、金融業界の裸官問題が最も深刻だ、などのことを指摘した。
「裸官」という言葉は2008年に生まれたと言われ、裸は「家族がいない、一人」という意味。つまり、家族や財産を海外に移し、自身一人「裸」で国内に留まる腐敗幹部のことを指す。同記事は、裸官すなわち腐敗幹部ではないが、裸官と腐敗幹部とは一歩の差しかないと指摘した。
裸官は1980年代に現れたが、一つの社会現象として話題となったのは2008年前後。同記事はこの20数年来、逮捕された59人の事例を集め、その特徴を分析した。
まず、59人の裸官のほとんどは党・政府幹部または国有企業の幹部。その中で、党・政府幹部が34%と最も多いが、国有企業では金融業の幹部が24%と最も裸官が横行している。この59人だけで数十億元(数百億円)を持ち去った。
そして、90年代中期までは、裸官は調査の危険を察知し、急ぎ海外にいる家族の滞在先に逃げるなど「無計画性」が目立っていた。90年代後期には裸官は時間をかけ、計画的に家族を海外に移住させ、持ち出し金額も増え、財産の海外移転の手口も徐々に老練になるなどの特徴がある。さらに、90年代末から今日まで、裸官の人数が急速に増えただけでなく、金融界や国有企業の上層幹部までが海外逃亡し、持ち出した金額は巨額に上り、金融の安定を脅かし、中国のイメージを損なった、などを指摘した。
同報告書は各部門の上層幹部という身分が裸官に海外逃亡と汚職資金の入手に便利な条件を与えたと指摘した。
報告書は中国社会科学院の資料を引用し、「90年代中期から海外逃亡した党・政府の幹部、国有企業の幹部、在外機関の職員は1.6万~1.8万人に上り、8000億元(約11兆2000億円)の資金が持ち出された」と問題の深刻さを説明した。