【大紀元日本11月21日】米議会の諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」は20日、中国の動向を分析した年次報告書を発表した。報告は、中国の軍備近代化はアジア太平洋地域の勢力バランスを変えており、米軍の数十年来の主導的地位が脅かされていると指摘した。
同報告は、米中関係の中で特に米安全保障に影響を与える問題について米議会に提案するもの。中国の軍事力のほか、中国からのサイバー攻撃や米中の経済関係、中国の外交問題などが分析の対象となっている。
報告は中国の軍備拡張を警告し、2020年までに中国は、先鋭的な潜水艦と水上戦艦で編成された大型艦隊を西太平洋に配備できるようになると予測した。中国は現在、原子力潜水艦やディーゼル潜水艦、駆逐艦などを含む7隻の艦船を製造している。中国の軍備現代化は今後、長い期間にわたって継続するものと指摘した。
中国は宇宙開発でも米国を猛追。近代戦争では、衛星通信が果たした役割が大きいため、宇宙開発力は軍事力の重要な要素と見なされている。今年に入って、中国軍が高地球軌道で運用される衛星を照準にした兵器の開発を進めていることも明らかになり、米国にとって脅威をなしている。米国のGPSナビゲーション衛星や複数の軍事衛星、情報衛星は高軌道衛星だという。
報告は米議会に、艦船の充実を助成し、米海軍の行動範囲を広げられるよう要求した。米国防長官は昨年、2020年までに米軍が保有する艦船の60%をアジア太平洋に配備すると発表しているが、今はまだ50%にとどまっている。
米国のアジア重視戦略を評価する一方、報告は、ますます多くの同盟国が、米国防費の削減やほかの地区での安全保障問題が原因で、アジア回帰のための軍事配備が実現できないことを懸念していると指摘した。
沖縄県・尖閣諸島をめぐる日中対立や南シナ海の領有権問題に関し、「中国の高圧的な手法がより重大な対立をもたらす危険が高まっている」と警告した。