【大紀元日本11月22日】中国では市中銀行の預金が流出している。中国経済誌・経済週刊によると、4大国有銀行の個人と企業の預金残高は10月27日時点で、前月末から1兆2900億元(約21兆円)の大幅減少となった。今月11日に発表された10月の金融統計でも、個人預金が8967億元、企業預金が2068億元とそれぞれ減少していることが明らかになった。市中銀行の預金流出は、金融改革により活発化したインターネット金融商品などが原因だとみられる。
中国では預金金利が当局により制限されており、長い間低水準に置かれていた。国有銀行は低い金利で預金を集め、高い金利で貸出を行うことで莫大な利益を得ていた。その利ざやは3%以上で、中国の銀行の利益の70~80%はこの金利差から生まれているという。
しかし、習近平・李克強政権では、金融改革の一環として、金利市場化が推し進められた。7月には銀行貸付金利の自由化を発表し、終了したばかりの三中全会でも「金利市場化の推進を加速する」との方針を明確にした。さらに、一定条件を満たした民間投資家が中小規模の銀行やその他の金融機関を設立することを認める内容も会議の決定事項に盛り込まれた。
「一定条件」が決まっていないなど、決定は具体性に欠けているが、最近の動きから指導部の金融改革の意欲が窺われる。政策の変動に鋭い嗅覚をもつ企業家らはすでに、さまざまなインターネット金融商品を打ち出した。中でもタオパオなどのネットショッピングモールを運営するアリババグループは6月中旬、余額宝と呼ぶ投資商品を発売。わずか2週間で66億元の資金が集まり、今月18日には、同商品の資産規模が1000億元(約1兆6300億円)の大台を突破した。アリババだけでなく、ネット通販大手の京東商城、ネット大手の謄訊や新浪なども余額宝に似た投資商品の販売に意欲を示している。
これまで国有銀行の独壇場で、その幹部は政治的指導者でもある中国の銀行制度が変わり始めた。7月には国務院が民間投資家の銀行設立を認めることを発表し、9月には人民銀の周小川総裁は、民営銀行の発展を加速すべきだとの認識を示した。これまで、大規模小売店の蘇寧雲商集団や不動産開発の新華聯不動産、インターネットの騰訊などが銀行設立への関心を明らかにしている。三中全会では党の指導部が民営銀行の設立を認めたことから、今後この流れが一層加速するとみられる。