12月30日、アップルストア銀座店前。福袋を買い求める行列(写真・陸遥)
【大紀元日本1月6日】中国にもLINEのようなものがある。微信というこのアプリをダウンロードし、大学の同級生のチャットルームに最近入った。日本語のできる同級生たちは今、ほとんどが日本と関連のある仕事をしている。私も時には、ジャパン的な風景を撮り、貼り付ける。
昨年末の30日、銀座に行くと、アップルストアの前にすでに行列ができていた。そう、2日初売りの福袋を目指す行列なのだ。これは「ジャパンだ」と思い、シャッターを押し投稿した。案の定、すぐに反応があった。いくらのモノが入っているのか。そのために3日間も並ぶのか。時給はいくら相当になるのか。アップル商品はどうのこうのと、それはそれは実利的な会話が繰り広げられた。
う~ん、ちょっと違う。こういった実利的な話以外にも、行列から何かジャパンな要素を感じる。日本生まれ日本育ちでIT業界にも変に詳しい子供に、こんなに早くから行列ができる訳を聞いてみると、子供はさらりと「お祭りだから」と言ってのけた。
それだ。日本の「福袋」にその「お祭り精神」が詰め込まれているのだ。待っている時点から、すでにこの「お祭り」は始まっている。寒さを忍びながらも気持ちは高揚する。みんなで1つの時間を共有する。苦労して商品をゲットした時の喜びもまたひとしおであろう。
しかし、その「お祭り精神」は日中を行き来する同級生たちにさえも、さっぱり伝わらない。そこまで並ぶ「値打ち」があるかどうかにコメントが集中した。
「1つの福袋のために、人々がこんなにも大人しく並んでいること自体、中国ではありえない」「なにかズルを考えだすんだろうな」。こんなことに着目した同級生もいた。それが見事に当たったようだ。家電量販店での中国人の転売屋による買い占めが報じられたではないか。留学生に「バイト代」を渡して並ばせたり、整理券をカラーコピーしたり、同級生たちの予想通りズルは大量発生していたようだ。
日本の正月の風物詩でもある「福袋」。その風情が分からない、理解できないけど、とても逞しく、商売上手で実利的な中国人たちが土足で踏み込み、「福袋」を「富袋」に変えようとしている。なんだか申し訳ない気持ちになった。
ちなみに、転売屋の話をスクリーンショットして(リンクは中国からアクセスできない)貼り付けようとしたが、ためらった。「日本人が中国人の悪口を言っている」と叩かれるかもしれないからだ。日中関係が悪い昨今、その間にいる私のような人間も、肩身が狭くなっている。