中央銀行ベース外貨買い入れ、高水準に維持でも「資金不足が常態化」

2014/01/14 更新: 2014/01/14

【大紀元日本1月14日】中国人民銀行(中央銀行)が7日に発表した最新データによると、2013年11月中央銀行ベース新規外貨買い入れ額は前月末と比べ3993億3600万元(約6兆7887億1200万円)増加した。11月の外貨買い入れ額の増長は10月末の4495億元(約7兆6415億円)の急増と比べて、やや減少したが、依然、高水準を維持したという。前月比での増長額1000億元(約1兆7000億円)を超えた9月から11月の新規外貨買い入れ総額は約1兆元(約17兆円)に達した。1~11月末までの新規外貨買い入れ累計総額は2兆5400億元(約43兆1800億円)となった。6月に発生した資金逼迫以降、中央銀行が金融機関から外貨資産を購入したことで、金融機関に対して多くの資金を供給したことがわかる。

また、金融市場における資金逼迫を回避するために外貨買い入れだけではなく、7月以降頻繁にリバースレポなどの公開市場操作で流動性を供給した。しかし、インターバンク市場の資金逼迫は改善できなかった。昨年12月中旬短期金融市場の指標金利となる7日物レポ金利が急上昇した。7日物レポ金利は12月20日に8.21%に、さらに23日に8.94%まで上昇、6月21日に発生した資金逼迫以来の高水準となった。金利の急上昇を受け、人民銀行は3日間連続で短期流動性オペ(SLO)を実施し、市場に合計3000億元(約5兆1000億円)の資金を緊急に供給した。しかし市場関係者の不安を払拭することができなかった。

外貨買い入れポジションは人民元流動性が充分にあるかどうかを測る重要な指標だ。一般的に中央銀行ベース外貨買い入れポジションが多い時、市場全体の流動性が比較的充分にあると判断する。したがって1月7日に発表された中央銀行ベース外貨買い入れポジションでは、市場に資金逼迫が生じるはずがなかった。

現在中国のインターバンク市場における資金配置構造は2層となっている。第1層目は人民銀行が流動性をコントロールしながら主にインターバンク市場に参加する大手商業銀行に流動性を供給する。第2層目は大手商業銀行が各中小銀行および他の金融機関に資金を供給する。

中央銀行から資金が供給され、さらに最多の預金資源を持つ大手商業銀行と対照に、中小銀行は供給される資金が乏しく預金資源が少ないため、経営が難しい。多くの中小銀行は資金確保するためインターバンク市場で頻繁に貸出や借入を行い、また高収益のいわゆる「理財商品」である短期金融商品を発行するようになった。一方で、多くの国有企業は低コストで融資を受けることができるため、その資金をもとに金融商品市場に参入した。

このような人民銀行の資金配置構造では、莫大な資金が実体経済に投入されることがなく、レバレッジをかけられた上、銀行業界内で空回りさせられており、いわゆる「金が金を生む」金融ゲームに投じられた。この状況が続いていけば、実体経済はますます厳しくなる。

業界関係者は2014年、中国金融市場において資金逼迫が常態化になるのではないかと懸念する。1月8日付「経済参考報」によると、中国銀行国際金融研究所の温彬氏は「経済現状および金融市場などからみると、中央銀行ベース外貨買い入れの増長額は徐々に縮小していくため、資金面では楽観できない」とコメントした。

大手投資銀行中国国際金融有限公司(CCIC)の彭文生・チーフエコノミストは昨年12月末「証券時報」の取材に対して、「人民銀行の金融政策は今後、穏増長(経済成長を安定させること)と金融リスクへのコントロールとのバランスをとることに中心をおくため、全体では引き締めの基調が続くだろう。現在経済の深層にある課題が解決されておらず、特に不動産価格の非合理的な上昇と影の銀行の信用拡張が有効に抑制される前までに、インターバンク市場の金利は高い水準で維持していく」と今後資金不足の状況が当分続くと分析した。

(翻訳編集・張哲)
関連特集: