【大紀元日本1月16日】中国軍総後勤部の谷俊山元副部長(中将)が汚職容疑で失脚して2年経った14日、中国国内ニュースサイトの財新網は、同氏の実家で行われた家宅捜索の様子を詳しく報じた。谷氏への調査は江沢民一派の抵抗でこれまで難航していたが、今回ふたたび水面上に浮かび上がったことは、習近平政権が軍部での基盤を固め、周永康氏や江沢民氏への包囲網を縮めていることが窺われる。
財新網の報道によると、今回の家宅捜索は二晩続けて行われ、差し押さえた物品はトラック4台分。中には純金製の毛沢東像や金塊、数箱の軍部特別供給の茅台(マオタイ)酒が含まれ、巨額に上るという。谷氏はまた、「おみやげ用」に北京の中心部に数十の物件を所有しており、上海では軍用地を20数億元(1元は約17円)で販売し、そのうちの6%を着服していた。ほかにも、軍用地を民間に販売する際、利益の6割が彼のポケットに入っていたという。同サイトの胡舒立・編集長は谷氏の不正蓄財について「衝撃的だが、氷山の一角に過ぎない」と指摘している。
中国軍の後方勤務部門を統括する総後勤部。兵站建設や装備調達などで絶大な利権を握っていた谷氏は江沢民一派の有力者としても知られている。同氏への調査は故劉少奇国家主席の子息で、習国家主席に近いといわれる同部の劉源政治委員(上将)が指示。だが、一旦始まった調査はその後、表から姿を消し、昨年3月に米VOAは、調査は軍上層部からの強い抵抗に遭っていると報じていた。香港紙・明報も軍部に詳しい情報筋の話として、谷氏の案件とつながる幹部は数が多く、官位も高いため、メスを入れづらいと報じ、「根っこまで腐っている」という。
その根っこに近いひとつの太枝が昨年末、調査を受けていることが明らかになった。香港アップルデイリー紙は昨年12月、谷氏の上司で中央軍事委員会の徐才厚副主席が取り調べを受けていることを報じた。徐氏は江氏が中央軍事委員会主席を務めていた2004年に副主席に抜擢され、胡錦濤氏が江氏から軍権を引き継いだあとも、軍部の人事権などの実権を握りつづけた。昨年3月にも、谷氏の汚職事件に巻き込まれたとして取り調べを受けていると香港紙は報じたが、その後は動きがなかった。
谷俊山から徐才厚。一方では薄煕来から周永康。次々と矛先を向けられる政界と軍部の元大物たちをつなげているのは「根っこ」にある江沢民元国家主席だ。習政権による江派残党への包囲網はますます縮まり、本丸の江氏に照準が合わせられる日も遠くなさそうだ。