【大紀元日本1月30日】全豪オープンテニスの女子シングルスで優勝した李娜選手は28日、故郷の湖北省に凱旋。同省の主要幹部らが空港に出迎え、80万元(約1350万円)の奨励金を贈ると表明した。しかし、当の本人は感謝どころか、花束の受け取りも拒否するなど冷淡な態度を見せた。かろうじて応じた記念写真は笑み一つもない冴えない表情だった。そんな態度は話題となり、その理由について「数年前、同省幹部にビンタされたためだ」との憶測が広まり、証拠となる動画がインターネットにアップされた。
あるネット利用者が公開したのは2001年に行われた全国スポーツ大会の授賞式の映像だった。李娜はこの大会にダブルスで3位と振るわなかった。この成績に不満だったのか、李娜にメダルを授与した同省代表団の副団長(当時)が彼女をビンタしたと思わせる場面があった。当時の副団長は29日、「挨拶のつもりで顔を軽く叩いただけ」と疑惑を否定した。選手の成績が幹部の出世に影響するというスポーツ界の風土や、李娜がその後顔に手を当てているなどを考えると、疑惑は完全に晴れていない。
「国のためにテニスをやっているのではない」。挙国体制で金メダルを量産する中国では、李娜はスポーツ界の「異端児」と目されている。2008年に自身の意思で国家チームを離脱し、夫と二人三脚で外国からコーチ、マネージャーを迎えプロ選手としての道を歩み始めた。
2011年の全仏オーブンで優勝するなど国際大会で好成績を収めるようになってから、スポーツ当局は彼女を国の代表に仕立てようとしたが、彼女は体制に寄り付こうとしなかった。「幹部やコーチが私に好成績を期待しているのは、自身の出世と利益のためだ」「私は自身のために試合に出ている」など体制と一線を画す姿勢を鮮明にしている。試合に勝っても、お決まりの「国に感謝する」との言葉を口にしない。負けても「たかが一度の負けで何も思ってない」と謝罪を拒否する。その反抗的な態度に幹部らは「国家チームに所属する経験がなければ、今日の成績がないはず」と不快感を示した。
しかし、彼女の飾り気ない正直な発言が人気となり、「娜姐」とのあだ名で親しまれている。同省から一方的な「好意」で送られた奨励金について「勝手に納税者のお金で人気取りするな」「彼女は十分すぎるお金を持っている。貧困地区の子どもにお金を与えよ」などと批判の声が上がっている。