【大紀元日本2月20日】中国環境保護部はこのほど、水質汚染を解決するため2兆元(約33兆円)を投資すると発表した。しかし専門家は監督体制の欠如を指摘し、投資の有効利用に懐疑的な見方を示した。
中国はもともと水資源の少ない国である。世界の五分の一の人口に対して、水資源は世界の7%しかない。特に北部地方の干ばつは深刻で、一部地域は中東よりも水供給が不足している。経済発展が招いた水資源の汚染はさらに追い討ちをかけている。
中国環境保護部が発表した「2012年中国環境状況公報」によれば、全国各地4929カ所の地下水質観測所のうち、半数以上の観測結果は「水質が良くないまた非常に良くない」。また、全国地表水の水質は「総じて軽度の汚染にある」。同公報は「広域の地表水、地下水が汚染されており、飲用水の安全が脅かされている」と結論付けていた。
当局は、2兆元の投資で水質の3~5割の改善を目標としており、主に汚水処理技術、水の再利用及び膜技術を導入して行うという。
米フロリダ州水資源管理機構の環境科学者・薛世奎博士は米政府系放送ラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に対し、「これほど巨額の投資は政府の決心を表している」と評価する一方、「長い道のりであり、一朝一夕では解決できない問題だ」と話した。
米NGO団体「国際中国環境財団」の何平会長はRFAに、2兆元が有効に使われることができるかに懐疑的な見方を示した。「現状では楽観視できない。民間による監督体制が乏しく、金と行政の力だけで成し遂げられるようなことではない」と述べた。
ロイター通信2013年年初の報道は会長の見方の裏付けとなっている。同報道によると、中国政府はこれまでの5年間、7千億元を水質汚染対策に投じ、さらに水質浄化設備にも1.2兆元(約20兆円)を投資したが、「効果はあまりなかった」という。