【大紀元日本3月13日】先月末に香港紙「明報」の前編集長が襲撃された事件から、今月初めの昆明の無差別殺傷事件。中国の情勢に物々しい雰囲気が漂う。一連の暴力事件は、習近平体制を崩すための江沢民一派の政変の一部分であるという情報を大紀元は入手している。周永康事件の行方のみならず、権力をめぐる中国共産党指導部の闘争や、今後の中国の政局を紐解くには、以下の8つのポイントに注目する必要がある。
1. 曽慶紅が「明報」に登場 同紙オーナーと江一派との深い関係
2. 腐敗カードは江一派を滅ぼす切り札にならない
3. 全人代会期中、習近平が妥協も江一派をけん制
4. 曽慶紅が暴力による政変を企む
5. 習陣営、江一派との即戦即決を迫られる
6. 曽慶紅が握っているもの
7. 王岐山が雲南省副省長にメス
8. 腐敗撲滅計画が調整へ
2. 腐敗カードは江一派を滅ぼす切り札にならない
取り調べが報じられている周永康関連の疑惑はこれまで、出身母体である石油業界に絡んだ汚職に集中している。しかし、同様な疑惑は習近平サイドにもあることが、1月、国際的なジャーナリスト組織ICIJによって暴露されている。
ICIJが発表した報告書には、習近平や胡錦濤、温家宝、李鵬、_deng_小平といった歴代指導者の親族が名を連ね、海外の租税回避地に莫大な隠し財産を保有していることが明かされている。ICIJの調査元となったデータは江沢民一派が故意に流したものとみられている。
一党支配の中国共産党幹部の腐敗は根深い。取り締まる側もいつしか取り締まられる側になる。習近平が腐敗撲滅の手綱を引けば、自身や自身陣営に不利な不正蓄財の報道が出回る。2012年6月にブルームバーグが習近平の親族の蓄財を報じ、同年10月には、ニューヨーク・タイムズが温家宝一族の蓄財を取り上げた。最近では、1月のICIJの発表のほか、香港の人権団体が、習一族による腐敗を調査するよう全人代に訴えている。
習近平体制は反腐敗カードを出し続けたが、大トラに近づけば近づくほど、腐敗の暴露合戦が繰り広げられる。一党支配を延命させるという姑息なねらいでは、カードの限界は対立勢力に見破られている。江一派を滅ぼすにはほかに切り札が必要だ。
3. 全人代会期中、習近平が妥協も江一派をけん制
大紀元が指導部に近い消息筋から入手した情報によると、1日に昆明で起きた殺傷事件も、先月末、香港で起きた「明報」の前編集長が襲撃された事件も、実行犯は江一派の手先の武装警察である。江一派はこれらの事件を習近平の失政に見せかけ、それによって、周永康への処分など一派の存続をめぐって習陣営をけん制する狙いだ。
昆明事件の翌日、政府背景のある中国廉政建設網がトップで、共産党中央が「周永康の厳重規律違反容疑に関する知らせ」を発表したとする記事を掲載した。この記事はすぐに削除されたが、掲載は習近平サイドが社会混乱を起こし続ける江一派に対する警告であることが窺われる。
だが、この「知らせ」は権威ある新華社ではなく、知名度の低い廉政建設網のみが掲載した。習近平は凄みを利かせながらも、全人代期間中のさらなる混乱を避けるため、妥協した一手にとどまった。
昆明事件は犯人の特定が簡単であることは江一派もわかっている。それでも習政権は公表できないのも江一派は熟知している。党の内部闘争が原因で市民が犠牲になったことが明るみに出れば、共産党支配が脅かされることになる。党を存続させるために、習近平は思い切ったかじが簡単に切れないことを江は心得ている。
(続く)
※ 本文中の名前は敬称を略している。