【大紀元日本3月17日】先月末に香港紙「明報」の前編集長が襲撃された事件から、今月初めの昆明の無差別殺傷事件。中国の情勢に物々しい雰囲気が漂う。一連の暴力事件は、習近平体制を崩すための江沢民一派の政変の一部分であるという情報を大紀元は入手している。周永康事件の行方のみならず、権力をめぐる中国共産党指導部の闘争や、今後の中国の政局を紐解くには、以下の8つのポイントに注目する必要がある。
1. 曽慶紅が「明報」に登場 同紙オーナーと江一派との深い関係
2. 腐敗カードは江一派を滅ぼす切り札にならない
3. 全人代会期中、習近平が妥協も江一派をけん制
4. 曽慶紅が暴力による政変を企む
5. 習陣営、江一派との即戦即決を迫られる
6. 曽慶紅が握っているもの
7. 王岐山が雲南省副省長にメス
8. 腐敗撲滅計画が調整へ
4. 曽慶紅が暴力による政変を企む
周永康とともに、江沢民の側近として知られるのは元国家副主席の曽慶紅。2003年、江沢民が国家主席を胡錦濤に譲ると、曽慶紅は江の代理人、胡の監視人として国家副主席に就任し、江一派の影響力を持続させた。
そんな曽に、一派の勢力を挽回するには習陣営の蓄財情報を流すだけでは不十分であることは分かっている。ならば、暴力事件を起こし、社会不安が起きれば、習近平を退任に追い込み、江一派が「習近平の失政を正す」と称し、巻き返す可能性は出てくる。暴力による政変がこうしてスタートした。
暴力事件は当然、明報事件や昆明事件でストップするはずがない。曽がこのほど明報に登場したのは、江派メンバーへの健在アピールとして捉えられる。中央の調査を受けているとの噂も立っている曽は、同グループに対し、自分はまだ拘束されておらず、行動の自由はまだあるというメッセージを送った。
曽の自由は、江一派の暴力による政変計画の継続を意味する。血眼になって巻き返しをはかる江一派に対し、習陣営は即戦即決を迫られる。
5. 習陣営、江一派との即戦即決を迫られる
2012年秋の党大会で習近平が党のナンバーワンに就任してから、江の手先を次々と陥落させている。四川省の副書記や元副書記、政協主席、湖北省の副省長、海南省の副省長、南京市の副書記で市長。公安部副部長で法輪功弾圧を主導した610弁公室のリーダー、国務院国有資産監督管理委員会主任、国家発展改革委員会副主任など。棒倒しゲームのように、習政権は徐々に中心に詰め寄った。
今年に入ってから、この動きが一段と速くなった。しかしそれと同時に、江一派も逆襲を加速させている。年初には、中国富豪の陳光標がニューヨークタイムズの買収と見せかけ、記者会見で江主導の法輪功弾圧を称えるような行動に出た。その2週間後、国際的なジャーナリスト組織ICIJが習を含む指導部の親族らが、租税回避地に隠し財産を保有していることを報じた。1カ月後には、明報の前編集長が襲われ、数日後に昆明で殺傷事件が起きた。
江一派の逆襲はマフィア化の様相を呈している。棒倒しが中心に迫ったことに焦り、手段を選ばない行動で習をけん制しようとしている。ここで習が手を緩め、戦いを長期化させれば、江一派に捲土重来のチャンスを与えることになる。習陣営は即戦即決を迫られている。
(続く)
※ 本文中の名前は敬称を略している。