【大紀元日本3月24日】近日、中国人民元が対ドルで下落し続けていることで、一部の専門家は、元安は中国資産価値の再評価に強い影響を与え、特に高水準で推移してきた不動産価格は元安で下落し、不動産バブルが弾けると予測する。
中国交通銀行の中国担当チーフストラテジストの洪灝氏は、米「フォーブス」誌の中国語電子版(3月18日付)において、元安が引き金となって中国本土の不動産バブルが弾けるとの見解を示した。
洪氏は、通貨安で輸出が拡大し外貨準備高が増加したことで、自国通貨が上昇しての資産価値の上昇は一般的で、中国はまさにこのプロセスを踏んできたとし、人民元が上昇し始めた2005年7月の中国の外貨準備高は8000億ドル(約81兆6000億円)だったが、現在3兆8000億米ドル(約387兆6000億円)に達しており、不動産価格もこの9年間で急上昇したと分析する。また、洪氏は、元安は中国資産価値の上昇を阻み、特に不動産市場や株式市場が下落する恐れがあるとの見通しを示した。2005年7月、中国人民銀行(中央銀行)が人民元の対ドルレートを2%切り上げ、固定相場制から複数の通貨に連動する「通貨バスケット制」に移行すると発表した。これ以来、元は対ドルで約33%上昇した。
中国社会科学院金融研究所研究員の易憲容氏は「証券時報網」(3月19日付)に対して、元安は不動産価格を下落させる要因で、現在、不動産市場は既に調整局面に入っており、元の下落は不動産市場への影響と衝撃が一層強くなる。また、で不動産バブルの崩壊は元が対ドルでさらに一層下落するだろうとの認識を示した。
今年始めから元が下落基調に入り、2月末に人民銀行は元高を狙う投機筋をけん制し、低迷する輸出を増やすために元売り介入を実施したため、元は対ドルで急落している。
また、人民銀行が今月17日に元の対ドルレートの変動幅を1%から2%へ拡大実施したことに関して、多くの市場関係者はこれまで2回の変動幅拡大実施と違い、今回は中国経済が失速し輸出が大幅に低迷する中での踏み切りのため、今後ドル/人民元の為替レートの変動リスクがより激しくなると認識し、元の売り材料と捉え、市場では元売りが優勢となった。
中国外国為替取引センターによると、21日、元の対ドル中間レートは前営業日と比べて0.0015ポイントのドル高元安の1ドル=6.1475元で、今年最安値(元安)を更新した。17日の変動幅拡大実施から1週間、元は対ドルで1.23%下落した。また今年に入ってから21日までの元の対ドルでの下落幅は3%となった。大和証券傘下の大和キャピタルマーケッツ香港がこのほど発表した研究報告書において、アメリカ連邦準備制度理事会(中央銀行、FRB)が量的緩和(QE)を縮小するにつれ、また中国本土での信用リスクの上昇で莫大な資金が中国から流出すると予測し、今現在から来年末までに元は対ドルで10%下落するだろうとの見通しを示した。
一方、元安の影響はすでに不動産市場と株式市場に響いている。2月、杭州や南京などの二線都市に続いて、一線都市の北京や広州などにもこのほど住宅の値下げ販売が行われている。株式市場では、主要指標である上海総合株価指数が20日2000ポイントの大台を割り、深セン指数は7000の大台を割り込み5年ぶりの安値となった。