【大紀元日本4月24日】不動産開発を手掛ける北方信託公司の劉恵文会長が19日、自宅で自殺した。同社の前身は天津経済技術開発区信託投資公司。劉氏の自殺で、天津市や中国各地で増える新開発エリアのゴーストタウン化問題がふたたび注目されている。
天津市は2006年、「東方のマンハッタン」と称して響螺湾でビジネス特区の建設に着工した。政府が600億元(約1兆円)を投資し、39のプロジェクト、49棟の超高層ビルの建設を開始したが、2年間の建設ラッシュの後、多くの工事は中断した。
「3割は1年以上、放置されている。ほかの建設プロジェクトもすべて止まっている」。香港のフェニックステレビはこのように報じ、同ビジネス特区は「中国最大のゴーストタウン」と指摘した。
今年1月の当局の統計データによると、中国でGDP第5位の天津市は、直接負債額が2246億元(約3.7兆円)で、2013年1年間の同市の財政収入の1.28倍に上る。米国の海外向け放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は24日、海外中国語メディアの情報として、汪洋副首相が2月の国務院の会議で「天津市は計5兆元(約82兆円)以上の債務を抱えており、実質上破産している」と発言したと報じた。
天津市のビジネス特区建設は当時の「北京からの産業移転」のスローガンの下で行われた。「京津冀(北京市、天津市、河北省)」地域の経済一体化を推進する政策をめぐって、首都圏の一部機能が移転される河北省の保定市では、天津市を教訓とすべきだと地元メディアは警鐘を鳴らしている。
ただ、天津市の教訓がある一方で、中国の開発ブームは一向に冷めない。当局が昨年、12省の156市を調査したところ、9割以上は新たな地区開発を計画している。12の省の省都は合わせて55カ所の地区開発を構想しており、中では13カ所の開発を予定している省都もあるという。