【大紀元日本6月12日】カナダ勲章受章者で人権弁護士デービッド・マタス氏は2日~6日に来日。著書『中国臓器狩り』の日本語版の発売にあわせて、大阪や名古屋、横浜、東京、埼玉で講演会を開き、中国での臓器狩りの実態について語った。
『中国臓器狩り』は、同氏とデービット・キルガー氏(カナダ外務省元高官、元下院議員)の共同著書。収監された法輪功学習者を対象とする、中国当局の臓器狩りに関する調査報告書であり、各種の証拠が収められている。
「この地球上の未曾有の犯罪を一刻も早く制止するには、国際社会に広く真相を知らせるほかない」と両氏はここ数年、世界各国に訪れて、精力的に活動を展開している。
2006年初め、米国の大紀元時報本社に、中国軍部の医者などから匿名の内部告発が複数寄せられた。中国の監獄と病院が組織ぐるみで、集団弾圧されている法輪功の学習者の臓器を収奪・密売し、莫大な金を得ている、というショッキングな内容だった。同年、国際人権団体の依頼を受けて、両氏は独立調査に乗り出した。
今回の来日講演会で、マタス氏は調査の経緯を明かした。
はじめから大きな困難に直面した。「被害者はこの地球上から完全に抹消された上、独立調査を行うため中国当局に入国ビザを申請したものの却下された」とマタス氏は当時の状況を振り返った。
一方、進展もあった。
労働教養所を出所した多くの学習者からある共通の証言が得られたという。「日常的に虐待や拷問を受けている学習者だが、なぜかほかの収監者が受けない、血液検査を含む精密検診をよく受けさせられた。そして、刑務官に呼び出されたまま突然姿を消した学習者も少なくない」
その後、両氏は決死の覚悟で調査を続行し、各方面の証拠を収集したという。
中国で臓器移植を受けた外国患者の多くは、ほぼ数週間以内に適合する臓器が見つかった、という事実をも突き止めた。「周知の通り、通常それは不可能のことである。『中国には厖大な臓器バンクが存在している』。そのことを裏付ける重要な証拠の一つである。謎の精密検診は学習者の臓器データを収集するためとしか考えられない」
死刑囚からの臓器提供を完全否認していた中国政府は、2007年両氏が調査報告書を発表した後、はじめて死刑囚の臓器利用を認めた。「それでも数万件以上の臓器移植のドナーは謎のままである」とマタス氏は中国政府の事実隠ぺいを改めて指摘した。
今回の来日講演会に、元衆議院議員の中津川博郷氏と、元東京都議会議員の土屋敬之氏が出席した。
「日本の国会でこの人権犯罪を討論し、そして制止すべき」と語った土屋氏は、今後このことに携わる意気込みをみせた。
講演会に出席した貿易会社の社長は、日本のメディアはこの方面の事をもっと報道すべきと嘆いた。「もっと多くの人がこのことを知れば、中国の臓器狩りもここまで深刻にならなかったであろう」「中国当局からの様々な圧力を受けるはずだが、それに屈して報道しないのは、メディアとして不名誉なことだ」
さらに同社長は、「臓器狩り問題をしっかりと究明しなければ、いまの中国が抱えている様々な社会問題を解決できるはずがない。その根源は繋がっているからだ」と懸念を示した。
講演会に出席した米国在住の政治評論家陳破空氏は、「この臓器狩りの組織犯罪を裁く日は必ず来る」と確信を持って話した。