【大紀元日本6月24日】ワシントン・ポスト紙は21日付の社説で、米国大学内に設立されている中国政府系の孔子学院は、米国の価値観と言論の自由を制限していると明かし、同学院を介した中国共産党のソフトパワー戦略に警戒するよう呼びかけた。北米地区では同学院に反対する声が強まっている。
孔子学院は中国政府が海外の大学などの教育機関と提携し、中国語や中国文化(実質上の共産党文化)の教育及び宣伝を目的に設立した公的機関。孔子の名を冠しているが儒学教育機関ではない。多くの孔子学院は所在国の大学内に設けられている。
中国政府の幹部はかつて、同学院は共産党政権のソフトパワーを強化する重責を担っており、「海外における宣伝の主要部分」などと堂々と発言している。
同紙の社説は、「中国政府に操られている孔子学院は、米国の学術界及び教育界に脅威をもたらしている」とし、米国の大学は中国側の戦略に協力してはならないと助言した。
米国大学教授協会は6月中旬、孔子学院を設置した北米地区の100近くの大学に声明文を送り、「同学院はまるで中国共産党政府の手先だ」とその提携関係を再検討するよう薦めた。
米国の価値観や言論の自由を侵害する事例
09年、ノースカロライナ州立大学はチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世を招待する予定だったが、校内の孔子学院の猛反対によりこの計画は白紙に戻された。
2012年、孔子学院の女性教師趙さんは米人権裁判所に、中国政府と交わした労働契約書での言論・信仰の自由を制限する項目を明かした。「授業中には、政治的敏感な話題に触れてはならない」「勝手に信仰を持ってはならない」などと細かく定められていた。
米国内メディアはシカゴー某大学関係者の証言を報じた。校内の孔子学院でダライ・ラマの写真を貼ることはできない。
スタンフォード大学などの米名門大学はすでに中国政府に対して、契約書における言論の自由を制限する項目を撤回するよう求めている。
孔子学院への批判はカナダでも沸き起こった。カナダ大学教師協会(CAUT)は昨年12月、各関係大学に同学院との関係見直しを求める声明文を発表した。
一方、孔子学院は全世界に急速に浸透している。中国政府は、「2020年までに、世界上位500の都市に進出する」との目標を掲げているという。
日本には09年時点で、立命館大学や桜美林大学、北陸大学、愛知大学、札幌大学、早稲田大学、大阪産業大学、岡山商科大学などの大学に孔子学院が設置されている。