【大紀元日本8月29日】不動産バブル崩壊の懸念が高まり、物件の価格下落が止まらない中国では、値下げ前の住宅購入者が抗議し、衝突に発展する事件が多発している。中国国内メディアが報道した。
上海郊外の発売中の新築マンションを5日間で25%値下げした不動産販売会社・緑城有限公司の上海事務所はこのほど、数十人の元値購入者に包囲され、抗議の嵐にあった。現時点まで、同社は抗議に対応していないという。
東部の山東省済南市では、ある新築マンションの価格が発売半月間で25%下落したことから、元値購入者たちがロープで道路を封鎖するなどの抗議に出た。開発業者は用心棒を雇い抗議者らに暴力を加え、負傷させたため、現地警察約300人が出動する騒動に発展した。
18日、大手不動産開発会社・万科の郁亮会長は、香港での業績説明会で「値下げするのも、やりにくい」と中国特有の国内事情を明らかにした。「値下げに踏み切れば、元の価格で購入した人たちは、モデルルームを壊したり、事務所前で篭城し営業妨害するなど抗議してくる。国内ではこのようなことは日常茶飯事だ」と嘆いた。
こうした状況の中、25日、同社は中国大手通販サイト「淘宝網」と提携し、「同通販サイトでの商品購入総額が、そのまま物件購入時の値引き金額になる」というユニークな値下げ案を打ち出した。値引き限度額は5万元~200万元(1元は約17円)だという。
27日に発表された中国の不動産開発会社98社の中間決算報告書に基づく統計によると、今年上半期の住宅在庫は前年比で2200億元(約37兆円)も増加した。
資金の回収に苦戦を強いられている不動産開発会社。今後も大幅な価格下落が続く見通し。
(翻訳編集・叶子)