【大紀元日本10月17日】長引く香港民主化デモの参加者が梁振英長官の辞任を求め続ける最中の今月8日、豪大手紙が梁長官巨額裏金受領疑惑の報道を出したことについて、「梁氏の失脚を望む勢力が仕掛けた」との見方が浮上した。
豪大手新聞社「フェアファックス・メディア」傘下のジ・エイジ紙のガーナント記者の話では、報道の3日前に匿名情報筋から重要証拠(梁氏が豪上場企業UGLと交わした秘密の契約書の写し)が提供された。「天から降ってきたかのようだ」と同記者は言う。
その写しの記載内容から、梁氏は、UGLのアジア地区での業務発展への支持・協力費として、同社より、2012年と2013年の長官就任後計400万ボンド(約6.8億円)を受領したことが判明した。
2007年~2013年まで、同紙駐北京記者として勤めたガーナント氏。その父親は80年代駐中国豪州大使を勤め、中国政府の改革派と交遊があったとみられる。大紀元時報米国本部が入手した情報では、同記者は中国共産党高級幹部の子弟グループ「太子党」と人脈をもっており、特に故・胡耀邦元最高指導者の息子らと関係が近い。後者は習近平国家主席と親交があると言われている。
香港誌「壱週刊」によれば、ガーナント記者は幾度も胡耀邦氏の2人の息子を取材し、記事の中でたびたび言及している。
米国在住の中国問題専門家・石蔵山氏は大紀元の取材に対し、こう分析した。「ガーナント記者は内幕の情報を入手できるはず。面白いのは、彼はなぜ、香港市民が梁長官辞任を強く求めているこの敏感なタイミングで梁のスキャンダル報道を出したのか。決して偶然ではなく、梁長官の失脚を望む勢力が仕掛けたのであろう」
梁氏を長官に選んだのは、返還後長年香港の主導権を握っていた江沢民派とも言われている。今回のスキャンダル報道をめぐって、太子党の糸引きを示す確固たる証拠はまだないだが、「指導部の内部抗争が絡んでいるのか」との見方が強まっている。
報道を受け、香港民主派政党の議員らは、汚職捜査機関「簾政公署」に対し、調査を要求したほか、長官の罷免を求める弾劾決議案の提出をも辞さないとしている。一方、梁長官サイドは「長官就任前の仕事への報酬である」と苦しい弁明を続けている。