【大紀元日本12月11日】専門家が問題視している中国のシャドーバンキング(影の銀行)の債務不履行問題がいっそう顕著になった。江蘇省蘇州市の大手シャドーバンキングの高仕公司が破たん寸前で、投資家から集めた25億元(約478億円)が全額返還不能となったことから、被害者らは、12月初めから連日抗議を続けている。
中国国内紙「華夏時報」によると、2005年から融資業務を始めた高仕公司の本社は蘇州市呉江区政府庁舎内にあり、地元政府とメディアが同社を宣伝するなど積極的にバックアップしていた。
このことから、被害を受けた投資家らは地元政府の責任を追及している。ある高齢の男性は「政府の宣伝を信じ切っていたから、年金も預貯金も全部つぎ込んだ」と無念さを顕わにしている。一方、政府庁舎前での連日の抗議に対し、地元政府は反応を示していない。警察は被害者の集団被害届に対し、捜査を行うと約束した。
高い利回りにつられて一般市民が競って同社に出資したとみられる。ある100万元(約1910万円)の投資契約書には年利10%と記されている。同社はネット上では「年利20%以上」と謳っていた。
同社には抵当権詐欺や文書偽造の疑いがもたれている。被害者側は「同社は融資先とされる複数企業との間で、実効性のない抵当権設定を交わし、投資家から巨額な資金を騙し取った」と主張している。
報道によると、社長の高氏とその妻は倒産危機発覚前にすでに日本国籍を取得し、資産も海外に移転したという。
中国の多くの中小企業や地方政府は、規制が厳しい銀行からの融資を受けられないため、シャドーバンキングから金を借りている。シャドーバンキングもまた高利回りをうたって一般市民から資金を募っている。
米格付け会社のムーディーズは、中国影の銀行に関する初めての最新報告書で、2013年末までにその規模は37.7兆元(約720兆円)でGDPの66%を占めると記し、「重大なリスクを抱えている」と警鐘を鳴らした。
クレディ・スイス銀行アジア地区の首席経済アナリスト陶冬氏は、中国の実体経済に強い影響力をもつシャドーバンキングは、資金集めや融資における違法行為は広範かつ深刻であると指摘した。
河南省内でもこのほど、複数の信用保証会社が相次ぎ倒産したのを受け、政府の監督責任を問う大勢の投資家たちが大規模な抗議を続けた。
債務不履行が広範囲で発生すれば、社会不安を引き起こし、中国経済を崩壊に導くとの懸念が高まっている。