【大紀元日本1月19日】香港の梁振英行政長官は14日に行った2015年度施政報告で、投資移民プログラムを15日から停止すると発表した。突然の発表は多くの憶測を呼んでいるが、習近平指導部の反腐敗キャンペーンに協力するためという見方が出ている。
香港政府は2003年から、外資を誘致するために「資本投資入境計画(CIES)」を立ち上げた。実施から昨年9月末までの申請数は4万件以上で、うち約9割が中国人で占められている。正式認可を受けた2万4千件の投資総額は2058億香港ドル(約3兆1200億円)に上る。
導入当初の投資額は650万香港ドル(約9800万円)以上で、投資対象に不動産を含むとなっていた。しかし、2010年からは不動産資産を除いて、最低投資額を1000万香港ドル(約1億5千万円)に引き上げた。
移民の増加にともなって、住宅価格や物価などが上昇し、香港人の不満を募らせていたことから、今回の措置が講じられたと解釈される一方で、中国政府の汚職撲滅運動に協力し、汚職幹部の逃亡や不正資金の移動を遮断する狙いがあるとの見方もある。
具体的理由について、梁長官は中国の反腐敗キャンペーンとの関係を否定し、「単なる香港の決定である。香港は今、投資の代わりに人材が必要」と説明した。しかし、移民専門家らは、実施されたほかの政策と異なり、今回は何の前触れもなく発表されたことから、「北京政府から指示を受けた可能性が高い」と指摘した。
香港は海外逃亡を図る中国幹部の重要なルートとされていた。曾慶紅元国家副主席の息子・曾偉氏や汚職の疑いで調べを受けている周永康・前政治局常務委員の息子・周濱氏と、死刑判決を言い渡された四川の豪商・劉漢などがいずれも投資移民を通じて香港の身分証明書を持っていると伝えられている。
中国政府は昨年7月から海外に逃亡した汚職官僚らを追跡する「キツネ狩り」作戦を始め、海外逃亡の腐敗幹部を徹底追及するため、各国政府に引き渡し協力などを求めている。中国メディアによると、昨年12月までに、海外逃亡の汚職幹部428人が逮捕された。