【大紀元日本1月29日】27日に発足したギリシャ新政権は同日、国内最大港湾で中国資本が買収する計画だったピレウス港の民営化を凍結した。ギリシャは欧州への入り口となる要所。中国の大規模交易ルート開拓計画「シルクロード」の海路は一時、頓挫したことになる。
中国国営海運会社・国遠洋運輸公司(COSCO)は、アテネ首都圏の外港都市ピレウス港運権益を35年契約、約34億ユーロ(約4500億円)ですでに取得していた。また同港のコンテナ埠頭2カ所を管理しており、22日に拡張工事の着工式典が行われた。
しかし27日、新政権は国の主権回復へ抜本改革を推進するとして、ピレウス港の買収計画の凍結を発表。「COSCOとの取引利益はギリシャ市民により再考される」と運輸当局者はロイター通信の取材に答えた。ほかにも電力PPC、石油精製ヘレニック・ペトロリアムの売却計画を相次いで凍結した。
習近平国家主席は2013年11月、アジアにおけるインフラ整備を支援するために400億ドルの「シルクロード基金」を創設すると表明。この現代版シルクロード構想には400億ドル(4兆5900億円)もの巨額資金を投じ、アジア、中東、ヨーロッパ、アフリカを通る陸路や海路の交易ルートを開拓する計画を明らかにした。
買収予定だったギリシャの港湾は、シルクロード構想上で海路最西の地イタリア・ベニスへ続く欧州への入り口となる要所だ。
凍結は中国をいらつかせたことになる。李克強首相はこの1カ月前まで、ピレウス港の買収が順調であると確認していた。中国政府は2014年12月26日、李首相がギリシャ前サマラス首相と電話会談し「ピレウス港の株主とCOSCOの取り決めがこのほどギリシャ議会で承認され、両国の関係と協力が力強く促される」と伝えていた。
ギリシャの首都アテネでは28日、チプラス新政権発足後、初めての閣議が開かれた。首相は「政策を抜本的に変えるために政権に就いた。有権者を失望させるわけにはいかない」と述べ、大胆な改革を示唆した。