【大紀元日本3月27日】中国国務院(内閣に相当)が昨年12月に各地方政府機関に対して発令した「税収等の優遇政策の整理と規範に関する通知」(62号通達)は、中国本土に工場を抱える多くの外国企業に不安を与えている。台湾電子機器メーカー鴻海精密集団傘下の郭台銘会長は2月に中国鄭州市長と面会し、税収面での優遇策の続行について会談したという。26日米ウォールストリート・ジャーナルが報じた。
「62号通達」では各地方政府が租税等の優遇政策に対して整理と規範を要求し、国家の法律法則に抵触する優遇政策を廃止すべきで、抵触せず残す必要がある優遇政策は国務院の承認を得る必要があると規定した。また3月末までに各地の優遇政策の整理状況を国家財政部に報告しなければならない。
当局は、新方針を地方政府が外資誘致のために無秩序の競争を行うことを防ぐ目的だとしている。国務院の承認がなければ、各地方政府が自ら税収優遇政策を制定することができないとした。言い換えれば、国務院からの承認がなければ、外資企業は税率25%の企業所得税を全額納付しなければならない。
鴻海精密集団傘下の富士康技術集団は中国鄭州市の工場で米アップル社のスマートフォンiPhone6の組み立てを担当している。富士康は鄭州市政府に対して同市が承諾した50億元(約950億円)の優遇政策の維持を求めているという。
一方鄭州市政府によると、国務院の新方針では将来5年間同市が富士康に提供できる奨励金と補助金は本来より30億元(約570億円)減少すると示した。
ウォールストリート・ジャーナルは優遇政策の不確実性は外資企業が現在中国で直面している新たな困難だと指摘した。上海の米国商工会議所のケネス・ジャレット会頭は同紙に対して、「方針の急な変更に多くの企業が驚いており、優遇政策によって経営判断を下したため、すでに約束した優遇政策は例外と認められることを望んでいる」と話した。