【大紀元日本4月10日】中国本土からの資金流入で香港株式相場は8日と9日、2日間連続で急上昇した。主要株価指数のハンセン指数は9日に7年ぶりの高値を付けた。
9日ハンセン指数終値は前日比2.7%高の26944.39ポイントと付けた。当日取引中、ハンセン指数は一時28000ポイントに達し、また値動きが激しいため高値と安値の差が1200ポイントもつけられた。さらに、9日の出来高は前日の2500億香港ドル(約3兆8750億円)を上回り、過去最高の2915億香港ドル(約4兆5183億円)となった。
中国本土の投資家が上海と香港市場の株式相互取引制度を利用したことで、現地時間9日午後1時46分に、本土からの投資額が1日当たりの限度額の105億元(1995億円)に到達した。限度額に達したのは8日よりも23分間も早かったという。
香港財政司の曽俊華司長は「株式市場の値動きが大きいと同時にリスクも大きいが、バブルの兆候がまだない」との見解を示し、個人投資家に対して「慎重に行動」と呼びかけた。
香港株価の急上昇で多くの市民が新規取引口座を開設するために証券会社の前で長い列を並んだ。証券会社の信誠証券の呂文広さんは大紀元の取材に対して、「昨日会社の電話が鳴りっぱなしで、取引の金額は普段の数倍だ」と話した。
呂さんは「この2日間の株式取引の手法を見ると、明らかに本土からの資金が動いている。従来の海外ファンドは企業のファンダメンタルズ(業績や財政状況)に基づいて株式を売買するが、今はファンダメンタルズをそっちのけで、株価も見ずに買い漁っている」と述べた。
また、資金源も非常にミステリアスだという。呂さんの分析では、上海と香港市場の株式相互取引を通して入ってくる資金は限度を設けられ、しかもほとんどはある銘柄に対して慎重に取引するが、このように大規模に買い漁ることはしない。そのため、この莫大な資金はすでに以前から密かに香港に入ってきたものではないかと見ている。資金は闇金融を含む多数のルートを通して香港に流入した可能性を、呂さんは指摘した。
匿名の情報提供者によると、中国本土のA株式市場(中国国民のみが取引できる)における急上昇に習近平政権が過熱化を警戒してため、投機資金が香港に流れ込んだという。情報提供者は「政府内部ではA株式市場が急上昇すれば、直ちにストップ高にするとの指令がある。そのため、それらの投機家が香港市場に入ることにした。今後、中国本土の企業が香港株式市場で資金調達をする新規株式公開(IPO)が急増で、香港の株式相場がさらにつり上げられる。しかしこのホットマネーが随時に香港市場から撤退する恐れがあり、バブル化後の市場が急速に低迷するため、香港金融市場に大きなダメージを与える可能性がある」と述べた。
ある証券会社のディーラーは「この2日間で損失を被った香港のファンドが多くある。香港のファンドは企業の業績や財政状況をみて取引をしているが、しかし相場が理性が失ったかのように急上昇している」と嘆く。
香港株式市場での急上昇は、中国共産党政権が前最高指導部メンバーの周永康氏が起訴されると発表したのと、タイミングがちょうど重なる。党内では習近平派閥と江沢民、周永康を主とする江沢民派閥の間の権力闘争が激しく、周永康が逮捕・起訴されたのを報復し、金融市場をかく乱して経済を不安定化させるため、江沢民派閥が香港株相場を意図的に急上昇させたのではないかとの見方も出ている。