【評論】世銀やIMFに対抗し肥大化するAIIB 中共の思惑はずれ、支配への努力は無駄に

2015/04/20 更新: 2015/04/20

【大紀元日本4月20日】米国サウスカロライナ大学の謝田教授はこのほど、中国共産党政権が主導する「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)について、中国語週刊誌「新紀元」(423期)に評論を寄稿した。

謝教授は、国際ルールに従わず世界規模の「中国式銀行」であるAIIBを通じて、欧米や日本が主導する世界銀行および国際通貨基金(IMF)に対抗するとの狙いは、最終的に無駄になるとの見方を示した。下記は謝教授の見解。

―――

中国共産党(中共)が主導するAIIB設立について、最近多く議論されている。現在の状況からみると、中共はより多くの西側諸国が参加するよう、当初の計画や狙いについて少しずつ妥協しているようだ。しかし最終的には、この「ごった煮」的な銀行の設立について、思い通りに運営したいとの中共の苦労は無駄になるだろう。

なぜならAIIBの設立準備において、「中国共産党化」を取り除こうとする過程が徐々に強まっているからだ。つまり、中共の投票権、決定権、影響力が少しずつ弱められているのである。

現在表ではますます多くの国が創立メンバーとして加入したと見えるが、中共のコントロール力と支配力は多くのメンバー、特に欧州各国の参加によって、絶えず弱められている。中共が世界銀行、IMFに対抗する目的が実現できる可能性がなくなっている。

4月末、AIIBは北京で創設に向けて首席交渉代表会議を開催される予定だ。その際、参加国は出資比率や、総裁および副総裁の選出、本部所在地、運営ルールなどについて協議する。これからまさに面白くなるところだ。

中共はより多くの難題に直面する。イギリス、ドイツ、フランスなどの西側諸国がAIIB加入時に中共に十分の面子を与えたが、銀行の構造、組織および運営など具体的な事項になると、欧州主要国の加入を後悔することになる。なぜなら、アジアの数カ国だけが参加するなら、他の国より大部分の出資比率を持つ中共はAIIBを海外版の中国建設銀行のように、意のままに運営することができる。しかし西側諸国が入ってくると、銀行内部の構造や運営ルールについて「ロバート議事規則」にしたがって進行するなど、理事会での議席、貸出の透明性、環境保護人権などに関する条件を求めるからだ。

『AIIB覚書き』では、創設メンバー国の国内総生産(GDP)に応じて出資比率が決められる。これによると最大出資国は中国となる。その次にはインド、ドイツ、フランス、韓国、イギリス、イタリアなど。しかし、中国GDPの信ぴょう性について絶えず問われており、現在の中国首相でさえ中国GDPデータは信用できないと認めている。この嘘に基づいた出資比率の決定だから、AIIBは創立当初からトラブルが起きそうだ。もし将来、中共の嘘が見破られた時、他の国々はどのように対処するだろうか。

思惑通りにならないAIIB 中共の努力は水の泡に

見栄を張り面子にこだわる中共は、国際社会においてその統治の合法性を証明するために、AIIBを大きく強くするため、利益で多くの国を騙した。中国には「招き入れるのが容易だが、追い払うのは難しい」とのことわざがある。欧州主要国の加入は、世界銀行やアジア開発銀行(ADB)のように、西側のルールに則って運営すると厳しく要求する。したがって、中共の努力は水の泡となる。そもそも中共がAIIBを設立したのは、国際ルールに従いたくないからだ。計略は失敗し、損失を招くだろう。

中共の目的はIMFでの発言権を強め、IMFのガバナンス構造を改革することにある。それと同時に米国に対して、人民元の特別引き出し権(SDR)構成通貨としての採用を支持することと、中国企業が米国での投資条件や中国のハイテク技術の輸出規制を緩和するを求め、米国を強く意識したものだ。

しかし中共は自らAIIBの否決権を放棄した。このことは、米国盟友であるイギリスやフランス、ドイツを加入に踏み切らせたきっかけとなった。AIIB創立に関わる情報提供者によると、中共が否決権を放棄したことの代わりに、オーストラリアがAIIBに加入した。このことから、世界経済力が「2位」と称される中共の影響力は米国に全く及ばない、ということが明白になった。米国の覇権的地位に対抗するはずだが、道のりは長い。

世界各国は中共のAIIBの管理運営基準、投資プロジェクトに関する環境保護の基準に関して疑問を呈している。AIIBが運営し始まると、中国当局はGDP成長率ばかりを追求し、環境汚染の拡大を無視し、どんどん建設工事を進めるのではないかと考えるのは間違いだ。なぜならイギリス、フランス、ドイツやオーストラリアなど各国政府は環境保護の点では譲歩しない。あるいは譲歩する勇気がないと言ってもいい。各国の環境保護団体は、政府の行動を見逃さないからだ。

フランス紙「ル・モンド」は、欧州各国はなぜAIIBに参加したのかについて「理由は簡単だ。その中にいれば、発言権があり干渉することができる」と分析した。中共はその「干渉」のメッセージ性を把握できていない。

アジアの発展途上国でも多くの国は民主的国家で、その国民は中国特色のある汚染や浪費、建設プロジェクトにおける腐敗行為や、工事中の材料のごまかしを許すことができない。またアジア各国は債務者で、AIIBからの融資を返済しなければならない。中国特有のずさんな工事を招くようなことを防ぎ、慎重に融資を判断するだろう。

したがって、中共がアジア各国に国内の過剰生産能力、過剰の建築材料、過剰労働力を押しつけるのは難しい。その時になってはじめて、莫大な資金を出しても最終的な決定はできないし、世界銀行やADBのように運営しなければならないと、中共は気付くだろう。中共にとって、AIIBを支配しようとする努力は、無駄になる。

(翻訳編集・張哲)
関連特集: