【大紀元日本4月27日】中央政府直轄の「中国兵器装備集団」の子会社が21日、8550万元(約16.4億円)の債券利息のデフォルトを発表、債務不履行に陥った初の中国国営企業となった。それを「大きな転換点」とみる経済専門家の間では、中央・地方政府は今後、経営不振の企業、とりわけ国有企業の救済を行わないだろう、という見方が強まっている。
保定天威集団は、100以上の子会社を持つ「中国兵器装備集団」の傘下にあり、主に変圧器と送電設備を製造。同社の発表によると、2014年度は101億元(約1936億円)の巨額赤字で、今回利息支払い不能となった債券の総額は15億元(約288億円)に上り、2011年に発行され、2016年4月に満期となる予定。
その前日、広東省深セン市の大手不動産開発会社「佳兆業集団」が、5160万ドルの米国債利息が支払い不能になったと明らかにされたばかり。
一連のデフォルトについて、米国の海外向け放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は専門家の見解として、巨額な財政赤字を抱えている各地方政府が、これまでのように企業、特に国有企業を救済する体力がなくなったと伝えた。フォーブス誌のコラムニスト章家敦(Gordon G.Chang)氏は「これは中国経済が危機に陥る兆候でもある」と指摘した。海外調査機関の試算では、中国地方政府の合計債務残高は20~30兆元(1元は約19円)に達する。
中国ニュースサイト「財新網」が伝えた情報筋の話では、中国中央銀行の働きかけで、天威集団の債券発行銀行・中国建設銀行はデフォルト回避のため同社への融資を約束したが、その規模と期限は未定だという。同情報筋は「建設銀行は同社債券保有者でもあることから、融資は市場を安心させるためのパフォーマンスに過ぎない」とも話した。
中国債券市場の初のデフォルトは2014年3月に起きた。当時、民間企業の上海超日太陽能科技有限公司が8980万元(約17億円)の債券利息が不払いになったとき、地元政府は9社の投資会社と2社の信用保証機関をあっせんし、すべての債券保有者に利息と元金を支払い、土壇場で同社の破産を回避させた。
前出の章家敦氏は「デフォルトの大規模な発生は社会不安を招き、政府に対する国民の信頼を失墜させるため、中国政府にとって手を焼く難題である」と述べた。