【大紀元日本5月25日】長年中国の臓器提供の実態を調べてきたカナダ元下院議員で元外交官僚のデービット・キルガー氏(74)はラジオ・ニュージーランドの18日の放送で、パーソナリティのウォレス・チャップマン氏のインタビューに、中国での法輪功愛好者など罪なき受刑者(良心の囚人)への臓器収奪疑惑について、「いまも進行している事だ」と説明を展開した。
放送の冒頭で、チャップマン氏はキルガー氏らの調査について、次のようにアナウンスした。
「今年4月米放送界の最高栄誉賞「ピーボディ賞」を受賞したドキュメンタリー映画「人狩り(Human Harvest)」は、ノーベル平和賞候補者(2010年)のデービット・キルガー氏とデービット・マタス氏(72、カナダ人権派弁護士)による、中国の臓器狩り疑惑に関する独立調査の一部詳細を収録している」
「両氏の調べでは、中国の病院で数万人規模の罪なき受刑者(大多数は法輪功愛好者)は臓器収奪のため殺害された。一方、中国政府は、臓器提供は死刑囚の同意を得ていると主張、『臓器狩り』の指摘は『根拠のないねつ造』と完全に否認している(略)」
その臓器関連のインタビューの内容の邦訳を以下にまとめた。
──まず確認したいのは、臓器収奪はどういう経緯で取り沙汰されたのか。大勢の人は中国で臓器移植を受けたようだが、中国はなぜこれほど大量の臓器を提供できるのか。
「イスラエルのある医師(心臓移植の専門家)ジェイコブ・ラビー(Jacob Lavee)氏は事情を知る一人である。その患者は移植のため中国に渡り、約2週間後、適合する臓器が見つかった。『なぜこれほどの短期間で』と疑問山積のラビー医師は後に裏トリックがわかった。すなわち、この移植のため、だれかが殺害されたのだ。業界の権威である同医師の働きかけで、イスラエルではその後、この闇の臓器移植を受けることを禁ずる法律が成立した……」
──調査の数値があるようですね。これほど大量の臓器を提供するには、恐らく10万人の受刑者が必要か。
「中国の年間移植実施件数は約1万件(政府発表)で、10万人規模の『臓器バンク』が必要でしょう。言い換えれば、10万人が殺されるのを待っている。この説明は恐ろしすぎるだが、ニュージーランド人にもカナダ人にも事実であることを知ってほしい。しかも今も進行している」
──中国には、他国同様のドナー提供システムがないのか。
「中国人にとって、死後の臓器提供は伝統文化に背反している。そのため、ドナー提供の試行制度を打ち出した概ね2010年のとき、37例の提供しかなかった。いわば、制度も規定もあるが、実際の運営はきわめて難しい」
「一部の臓器は処刑された死刑囚のもの。しかし、我々が確信しているのは、大多数の臓器は法輪功のような罪なき受刑者からである。彼らは労働教養所などに強制収容され、臓器摘出のため医療検査を定期的に受けている」
「臓器の注文が入ったら、データーバンクから適合する臓器を割り出し、そしてその後、ある人はレストランの食材ロブスターのように殺害される……」
──このドキュメンタリー映画の内容には非常に驚いた。中には、ある外科医は「受刑者は武装警官が警備する病院のある場所に連行され、麻酔を施さないまま臓器摘出の『手術』を強制される……」と証言した。いったい何が起きているのか、ぜひ教えてほしい。
「これは蘇家屯地区(中国東北部瀋陽市)で起きたことで、マタス氏と私の共著『戦慄の臓器狩り』(注1)にも記載、http://www.david-kilgour.com/で詳細がみれる。それを読めば、蘇家屯で何が起きたかを詳しく知ることができる」
「この外科医は2001~2003年、法輪功愛好者から約2000枚の目の角膜を摘出、後に妻の説得に応じてやめた。先ほど話した映画の一部内容はきわめて信じ難いが、しかし発生しており、しかもいまも中国で続いている」
──映画の内容は鳥肌が立つほど恐ろしい。なぜこのことに手を染める医者がいるのか、疑問を抱かずにいられない。
「これは倫理と道徳の問題である。大金が警察や臓器を運ぶパイロットまで参加者全員を興奮させている。残念なことに、中国社会では医者の道徳は失われているようだ。臓器収奪はその結果の一つである」
──法輪功に関する情報をもっと知りたい。
「法輪功は1992年から中国で広まり、仏教や道教に似ているようだ。緩やかな気功の動作もあり、中国国内で大人気だった。90年代半ばにはその愛好者は7千万~1億人といわれ、私の知る限り、世界130の国・地域に広がっている」
「私本人は愛好者ではないが、彼らがいま行っていること、その『真・善・忍』の信仰を尊重している。恐らく、愛好者数が中国共産党員の数を超えたこと、その信仰に当時の最高指導者・江沢民氏が強い危機感を抱いたことから、彼は取り締まりを発動した。すでに14~15年続いたが、法輪功側は屈していない……」
──最後に確認したいのは、中国で臓器のため殺害された法輪功愛好者の人数の統計はあるのか。
「私の友人の1人、イーサン・ガットマン氏(注2)は、7年間をかけて完成した著書「虐殺(The Slaughter)」で、2000年~2008年の間、6.5万人の同愛好者が臓器のために殺されたと記した。彼の調査の範囲はマスタ氏と私の調査よりもっと広く、中国政府の弾圧対象であるウイグル人、家庭教会(地下教会)のキリスト教信者、チベット人にも及び、その約2千人が臓器需要の犠牲になったとしている」
「我々が入手した33種の各方面からの証拠は、同臓器収奪は依然と続いていることを示した。約10年間検察官を務めた私は、証拠の信憑性を確信している」
インタビューのなか、キルガー氏は中国政府の対応にも言及した。「彼らは弁解できず、ただひたすら、私たち、マタス氏と私が中国に反対していると非難を繰り返しているだけ。実際には、我々は中国に反対しているのではなく、いまも続いているこの反人類の犯罪を止めたいだけだ」
注1:「戦慄の臓器狩り」
キルガー氏とマタス氏による同共同独立調査の報告書。「中国で政府、軍隊、病院が組織ぐるみで、広範囲に収容中の法輪功愛好者の臓器を摘出・密売している」と結論し各種証拠を収録している。21カ国語版があり、邦訳版が出版されている。
注2:イーサン・ガットマン(Ethan Gutmann)氏
米コロンビア大学で国際関係学の博士号を取得し、米国では中国問題専門家として知られている。80年代から、米有名シンクタンク「ブルッキングズ研究所」の研究員、ウォール・ストリート・ジャーナル・アジア紙でコラムニストを務めた。また、北京で長年ビジネスコンサルティングに携わり、長期の調査を経て「失去新中国(新中国を失う)」「虐殺(The Slaughter)」などの著書を出版。2012年9月12日、米国下院外交委員会で開かれた「中国共産党が宗教信仰者と政治異見者の臓器を摘出」というテーマの公聴会で、証人として陳述を行った。