【大紀元日本7月24日】世界最大のレアメタル取引所である昆明泛亜有色金属取引所(FYME)が債務不履行になるとの話が投資家の間で流れ、7月中旬から店舗前などで払い戻しを求める抗議デモが起きている。FYMEには全国22万人の顧客から総額400億元(約8000億円)が投資されている。
FYMEは13日に公式ホームページで、「金融市場の変動と実体経済の成長鈍化の対策として現物市場の安定とリスクコントロールを強化」するため、13日から8月末まで、一部取引を停止すると発表した。同日、約800人の投資家が昆明市のFYME本店前で取引再開と払い戻しなどを求める抗議デモを行い、その状況は簡易ブログ・微博などで写真や動画とともに伝えられた。
大紀元米国本部の電話取材に答えた抗議者の話によると、20日には全国から集まった約200人の投資家が省政府庁舎前で抗議デモを行い、問題解決のため、政府介入を要求した。約100人の警官が出動し、庁舎内に入ろうとする抗議者を退けた。政府は面会要求に応じなかったという。
昆明の地域情報サイト、ゴー・クンミン(英語)によると、6月の上海市場の急落を受け、FYMEが債務不履行になるとの話が投資家たちの間で7月初旬に出回り始めたという。
政府バックアップの取引所、わずか4年で世界最大
2011年、雲南省昆明市にオープンした中国初の非鉄金属電子現物取引所は、国内の投機ブームを受け、わずか4年で世界最大のレアメタル取引所に成長した。売り文句は、高い利回りや雲南省政府のバックアップなどで、国営メディアがこれを「宣伝」として報じたため、投機熱をあおった。
4月には、レアメタル価格の流動性問題に直面していることを明かした。要因は「中国市場の不安定」と「悪意ある投資企業による空売り」と説明している。
一方、FYMEは、顧客の損失は保証しないとかねてから主張しており、今回の騒動にも冷たい態度をとっている。同社ブランド・ディレクター、_deng_思キツ(人べんに吉)氏は17日、環球時報の取材に答え、「FYMEはレアメタル売買取引のプラットフォームを提供するだけで、実際に投資家(の損失)に対する支払い義務はない。しかし、高額な償還に伴う問題を解決するために、政府のサポートを求めている」と述べた。
省政府は強気なコメントを出している。毎日経済新聞の取材に対し、雲南省政府関連部門の劉光溪氏は「現在直面している困難をFYMEは解消することが出来、この段階は早く過ぎ去る。FYMEはすでに国際的にも強い影響力がありレアアース取引のプラットフォームとして重要な意味がある」と答えた。
シャドーバンキングで得た資金、レアメタルに注がれる
FYMEの騒動について、「中国の金融システムの一大リスク」と従来から懸念されている中国のシャドーバンキングが背景にあるとされている。
銀行を介さない金融取引・シャドーバンキングは、5~10%の高利回りで投資を呼び込んだ。投資家たちはこれらで得た資金の次なる投機先として、バブル崩壊が懸念される不動産を避けて、中国政府の操作が効くレアメタルに注いだ。
中国政府のシンクタンク、社会科学院金融研究所の「中国金融監管報告(2014)」によると、中国のシャドーバンキングの規模は27兆元(約540兆円)に達し、大規模な債務不履行の発生が以前から予測されている。