【大紀元日本7月31日】湖北省荊州市のデパートで26日朝、エスカレーター降り口の床が突然陥没、30歳の女性客が巻き込まれて死亡する事故が起きた。同事故について中国国内メディアのみならず、米ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)など海外主要メディアにも取り上げられている。
デパートに設置されていた防犯カメラが、事故の瞬間を記録していた。ネットに流された防犯カメラの映像によると、子連れの女性客がエスカレーターを降りたところで突然、足元の床が抜け落ちた。子供は穴に転落した女性に押し上げられ救出されたが、女性は回転軸に巻き込まれて姿を消した。4時間後、エスカレーターは解体され、女性の死亡が確認された。
29日付国営の中国中央テレビ(CCTV)によると、事故が起きる約5分前、同じ場所で転びそうになったデパートの女性従業員がエスカレーターの踏板のねじが外れていることを発見したが、緊急措置は取られなかったという。
事故の原因は、メーカーの仕様書に応じてエンジンルームを覆う踏板を固定しなかったため、踏板のずれや陥没が生じた。こうした大きな欠陥を抱えていたエスカレーターだが、今年3月16日に検定当局から品質検定合格書を取得していた。
この事故により、中国ではエスカレーターの安全性への社会的関心が高まっている。惨事になった責任について、緊急事態への対応力を欠いていると一部のネットユーザーはデパート側を非難している。エスカレーター製造業者の責任や、当局の管理監督の責任を問うネットユーザーも少なくない。
事故を起こした中国国内メーカー・申龍エスカレーター社のエスカレーターでは過去にも故障や事故が起きていたことがわかった。同社は1998年に設立され、今年7月2日に新規株式公開(IPO)審査を通過した。
28日に発表された事故調査の結果によると、メーカーとデパート側が主要な責任を負い、保守会社も過失責任を問われることになるという。今回の事故は申龍エスカレーター社の上場に悪影響を及ぼす可能性があるとみられる。
中国の公式統計データによると、中国は昇降機設備(エレベーター・エスカレーター)の生産量・保有量ともに世界トップ。中国では1980年代に昇降機の使用が始まり、現在、昇降機は老朽化の時期に入っている。保守点検・定期検査など保守メンテナンスを重視しなければ、今後事故を起こすリスクがさらに高くなる可能性があると地方紙・重慶モーニングポストが29日に伝えた。