大国は「宇宙戦争」に備えている。米国は、米軍と偵察衛星の全ネットワークを指揮する司令部を新たに設置する。ロシアも同様の司令部創設を8月に発表した。中国は5月、将来の有事はサイバーと宇宙を想定した戦略白書を出した。宇宙の覇権をめぐる各国の計画は、日を追うごとに明らかになってきている。
米国、衛星と軍の指揮を統括する司令部設置
ホワイトハウスで開かれた高級会議では、国防長官アシュトン・カーター氏、同副長官ボブ・カーター氏、国家安全保障会議、空軍、宇宙戦略部など各国防に係る部門の高官が出席した。米国空軍参謀長マーク・ウォルシュ氏が、ホワイトハウスの高官軍事情報を伝えるサイト「ブレーキング・ディフェンス」の取材に答えた。
宇宙の有事に、偵察衛星は防衛に重要な役割を果たす。この衛星を軍が守るため、新しい司令部が双方の指示をまとめる。この司令部は、国防省と中央情報局が管理する。
権威ある国際関係シンクタンク「インターナショナル・アセスメント・アンド・ストラテジー・センター」のリチャード・フィッシャー氏は、新しい司令構造が作られることを、大紀元の電話インタビューで認めた。米国には衛星の能力に頼っており「中国に組織的に標的にされる」と述べた。
「地球と月を制御する」中国の野心
習近平総書記がトップを務める中央軍事委員会は5月、宇宙とサイバー世界の有事を含む、新しい軍事戦略白書を発表した。
「中国の本当のゴールは、地球と月を制御することだ」とフィッシャー氏は述べた。中国の宇宙開発技術は科学の発展ではなく、密接に軍事に結びついているという。
また、中国は、対抗する米国に陸海空軍の力に追いつこうとするよりも、月に特殊ミサイル、基地、プラットフォームを設置するほうが有利だと考えている、と指摘する。
カリフォルニア大学国際紛争研究所のケビン・ポルペーター副所長は2月18日、米国議会公聴会で、中国には軍事的利益を得る宇宙戦略があると述べた。
「ほとんどの中国研究家が、宇宙戦争が不可避であると考えている。多くの中国消息筋は、宇宙は『最高に優位』な場にすると話している」と、ポルペーター氏は述べた。
ポルペーター氏は中国専門家の話として、中国は、将来の戦争に宇宙が支配しなければいけない重要な場となり、「宇宙の覇権を得る」との野心を持っているという。
(つづく)
(翻訳編集・佐渡 道世)