米国アトランタで10月5日、米国と日本など12カ国が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)で大筋合意した。米オバマ大統領はTPP協定交渉基本合意を受けて声明を発表し、「米国の95%以上の潜在的な顧客が海外にいる状況の下で、中国のような国にグローバル経済のルールを決めさせてはならない。我々こそがそれらのルールを作るのだ」と中国を強く意識して述べた。
TPP協定は中国をアジア太平洋地域から締め出す目的にあると中国国内では米国への非難の声が相次いだ。しかし、中国政府は世界貿易機関(WTO)加盟後、加盟前に承諾した多くの事項を履行してこなかったことも事実だ。近年WTOが受理した多くの貿易関連訴訟は中国と関連している。
国内著名経済学者の夏業良氏は本紙の取材に対して、「TPP協定は必ずしも中国を同地域から締め出す目的にあるのではない。もし中国が順次条件をクリアすれば加盟することができる。しかし問題は中国の現在の政治制度、法律の条件、人民への迫害、知的財産権の侵害など、多くの面において中国はまだ加盟できる状況ではない。もし将来、中国が憲政、民主かつ法治国家になれば、TPP協定に加盟するのは問題ないだろう」と述べた。
TPP協定における知的財産権関連規定はWTOの同様規定と比べるとより厳しい。米カーネギー国際平和基金の黄育川チーフ研究員は、TPP協定の目的の一つは高基準の経済貿易規則を制定することで、もし加盟国がこれらの規則を守れないならば、その存在する意義がなくなると指摘した。
TPP協定は米国、日本、オーストラリア、カナダ、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ベトナムなど12カ国で構成される。これらの国々は世界の国内総生産(GDP)の40%を占めている。この12カ国のほかに、韓国、タイ、インドネシアがTPP加入の意向を示している。
10月9日付「上海証券報」によると、中国人民銀行(中央銀行)研究局の馬駿チーフエコノミストは、現在TPP参加している12カ国のほかに韓国、タイ、インドネシアと中国を加えた16ヵ国でTPPが成立した場合と、中国を除く15ヵ国で成立した場合とを比較した結果、中国がTPPに参加しない場合、中国はGDPの約2・2%を損失するとの試算を示した。
TPP協定で巨大な自由貿易圏の形成に取り残される中国は少し焦りだしている。8日、ペルーのリマで開かれた国際通貨基金(IMF)の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に出席した中国人民銀行の易綱・副総裁は「中国はTPP協定の大筋合意を歓迎する。中国はTPP協定に開放的な姿勢を持ち、参加する12カ国との協力や提携に備えており、TPP協定(への参加)を考慮する」と発言した。一方、米国通商代表部(USTR)のフロマン代表は15日米ワシントンで開かれた電話会議において、「TPPが求める貿易や投資の高い自由化水準を中国が満たすには長い道のりが必要だ」と述べた。
(翻訳編集・張哲)