エレクトロニクス産業が盛んな中国広東省で携帯端末部品メーカーの経営破たんが相次いでいる。中堅企業の福昌電子技術有限公司(以下、福昌電子)がこのほど破産宣告したのに続き、主力2社、深圳市の中顕微電子公司と恵州市の創仕科技公司が廃業した。中国の携帯電話市場が疲弊したため、業界の冷え込みが顕著になっている。
中国紙「中国経営報」26日の報道によると、中国大手通信機器メーカー、「華為技術有限公司(以下、華為)」と「中興通訊(以下、中興)」の主要な部品供給会社である福昌電子は倒産を発表し、8日に生産を停止した。
福昌電子は下請けと自社製品生産を兼ねた会社で、深圳市、恵州市のほか、マレーシアなどに工場を構えて、精密プラスチック金型の製造と、3C電気製品(携帯、カメラ、コンピューターなど)、木材・プラスチック再生複合材の開発と製造を手がけていた。供給先には華為、中興、中国電信、中国移動通信、日本のブラザー、アメリカのハーマンインターナショナルなどの国内外大手企業が含まれる。
福昌電子に続いて倒産した中顕微電子公司と創仕科技公司について、株式市場ニュースによると、二社の負債総額は16億元(約303億円)にも上るという。
2014年末から、中国のスマートフォン部品業界と下請け業界では市場の疲弊により倒産が相次いでいる。中央政府機構「工信部」の報告書によると、2014年度では、中国国内のスマートフォンの出荷台数は8.2%減少し、販売台数の伸び率もここ数年最も低いペースである。
同業界だけではなく、中国の製造加工業は2008年以来の新たな危機に直面している。中国メディアの報道によると、珠江デルタ地域(注)では、企業倒産によって今年中に500万人が失業する見込みである。現在、中国石化、龍煤集団、聨想集団、漢能集団といった大手国営企業や民間企業は、次々とリストラを進めている。
(翻訳・桜井信一、編集・叶子)
注:珠江デルタ地域とは、中国珠江河口の広州、香港、マカオを結ぶ三角地帯を中心とする地域の呼称であり、同地域は中国でも最も人口が密集した地域の一つ。