中国の広東省深圳市で起きた大規模な土砂崩れで、23日午前、はじめての生存者、男性2人が相次ぎ救出されたと中国メディアが報じた。生存者は2人とも意識がはっきりしている。これまでに、1人が遺体で発見されたという。これにより地元当局の最新発表では行方不明者74人となっている。複数の現地情報から、実際の行方不明者数はもっと多いとみられ、現場に武装警官が配置されるなど報道規制がはやくも始まっている。
行方不明者の人数を疑問視する声が多い。危機一髪で逃げ出した出稼ぎ労働者の男性は、米政府系放送局のラジオ自由アジア(RFA)の取材に対し、「建物が丸ごと呑み込まれた柳渓工業城だけでも、当時100人以上が休日出勤していた。出稼ぎ労働者の密集する簡易住宅街1カ所が完全に埋められた。休日のため被害人数はもっと多いはず」と話した。
事故は防げなかったのか。2年前から、地元メディアは現場の安全リスクをたびたび報道、周辺住民は繰り返し当局に対策を求めていたという。現場の地滑り発生の危険性を指摘する政府内部報告書が以前から提出されていたことも分かった。
土砂を流出させた残土受け入れ場を運営するのは市の公共工事を多く請け負った会社。一部報道によると、警察当局が22日午後、経営陣1人を身柄拘束した。
専門家は今年8月死者、行方不明者160人以上を出した天津大爆発にも言及し、「こうした人災が後を絶たない根本的な原因は、政府当局者と企業が結託し不正が横行していること。政府は管理・監督の責任をまったく果たしていない」と指摘した。
現場は、いつものように報道規制が敷かれている。
中国メディアは「公式発表した情報の範囲内で報道する」という当局の指示を受けたという。 インターネット上では、発生の原因を分析するなどの「マイナスな記事」がほとんど閲覧できなくなり、かわりに現場救助隊の活躍ぶりをたたえるニュースや写真が中心となっている。複数の市民ボランティアの話では、発生現場には銃を持つ警官数人が配置され、救助への参加を志願したが断られたという。
(翻訳編集・叶子)