12月15日に発表された「胡潤百富榜−中国富豪特別報告」によると、99年から15年までの17年間に約3087人の企業家が同番付にランクインした。しかし、そのうちの約1%にあたる35人の富豪が賄賂、汚職とその他の経済犯罪で起訴されたり、実刑判決を受けたりしていると示した。「胡潤百富榜」とは上海に本拠を置く調査会社、胡潤研究院が毎年発表する中国富豪ランキング。
同特別報告書によると、不動産業界と金融投資業界に「問題富豪」が集中している。「社会主義市場経済秩序への破壊」、「汚職と賄賂」、「(他人)財産への侵犯」が「問題富豪」の逮捕起訴された、また実刑判決を受けた主因である。
中国問題専門家の横河氏が本紙の取材に対して、今回「胡潤百富榜」の最新報告書が再び中国国内の官商結託の深刻さを反映した。「中国では多くの富豪の後ろ盾に特定で大きな権力を持つ官僚あるいは官僚集団がある。例えば、今月始め獄中で死亡した大連実徳集団会長の徐明氏は、失脚した薄熙来と深い繋がりがある。また先月逮捕された中国のジョージ・ソロスと呼ばれている上海ヘッジファンドマネジャーの徐翔氏もこれまで多くの高級官僚の資産管理運営に関わってきた」と述べた。徐翔氏は今年の「胡潤百富榜」の188位にランクインしている。
このほど、一時周囲と連絡が取れなくなった「中国のウォーレン・バフェット」と呼ばれる上海複星集団会長の郭広昌氏も失脚した令計画氏と、江沢民が率いる上海派閥と密接な関係を持つと言われている。郭氏は17位にランクインしている。
中国社会問題専門家の張健氏は「中国では官僚との結託がなければ、単に商売するだけでは富を蓄積して富豪にはなれない。中国のこの体制が商人と官僚が結託しなければならい主因だ」と指摘した。
横河氏は「中国共産党政権の下で、例えば官僚からの後ろ盾に頼らないで潔く商売しようと思うと、やはり多くの問題に直面する。規則や法律に則って、ある人が会社を設立しようと思うと、まず多くの手続きが待っている。規則に従ってこれらの手続きを済ませた時、進出したい市場はすでにライバルに先取りされたことに気づくだろう。また、ルールや規則に従いプロジェクトの入札に応募しようとするとき、政府官僚にパイプを持っておらず後ろ盾のない人は永遠に入札できない。さらに資材のごまかしを許せない真面目な人は他のライバルと比べて、より低い価格を呈示できない事も一因だ」と話した。
一方、張健氏は中国の官商結託状況が深刻であるため、ほとんどの富豪はその後ろ盾の官僚がいったん失脚すれば、自分も巻き込まれて共倒れするリスクを負わなければならないと指摘した。
10月に発表された「2015胡潤百富榜」によると、資産総額10億元(約187億円)以上を持つ中国富豪人数は10年の4000人から現在は7500人に増加した。また、資産総額100億元(約1870億円)以上の富豪人数は、資産規模などの情報が非公開とされている者も含め約300人に上る。
(翻訳編集・張哲)