9日未明香港で起きたデモ隊と警官隊との大規模な衝突に関して、習近平国家主席は駐香港部隊などに対し、「勝手な行動をとってはならない」と武力介入を厳禁する命令を出していた。米国の中国ニュースサイト「博聞社」が中国最高指導部に近い消息筋からの情報として報じた。
香港の梁振英行政長官は発生当日の記者会見で今回の衝突を「暴動」と断定した。中国外交部報道官は11日の記者会見で長官の暴動説を支持し、「香港の独立を求める一部の過激な組織が中心となって引き起こした」「香港政府の対応を支持する」と発言した。
衝突の発端は違法営業の屋台の撤去をめぐり反発した屋台関係者らデモ隊が物を燃やし、警察車両を破壊、警官に投石、負傷して倒れた警官を取り囲んで殴るなどしたため、警察は催涙スプレーを使用、また数発の威嚇射撃を行うなど大規模な衝突へと発展した。警官約90人と記者5人が負傷、61人以上が逮捕されそのうち37人が11日、暴動を起こした罪などで起訴された。
「博聞社」が中国最高指導部に近い消息筋の情報として伝えたところによると、習近平氏はこの衝突に関して、香港政府に以下の指示を出した。◇可能なかぎり暴力的な手段で対処しないこと。◇香港の独立や本土との関係悪化を狙う極少数の「悪意ある者」をしっかりと見極めること ◇事態が複雑化になるのを避けること。また、香港と、隣接する広東省の駐在部隊に対し、習氏は「今回の衝突に対するいかなる軍事的行動をとってはならない」と命じた。
同消息筋の見方では、暴動説は江沢民派が裏で操って意図的に出したもので、狙いは事態を深刻化させ、部隊を出動させるなど強硬的な対応を取らせるための道筋を敷くためだが、「その目論見を完全に見ぬいた習近平氏が今回の一連の命令を出した」という。
「デモ隊には江沢民派がよこしたマフィアや秘密警察などがおり、意図的に衝突を拡大させようとした」という未確認情報もある。
香港を舞台とする習近平陣営と江沢民派の攻防戦は以前からである。2014年9月末に起きた香港の大規模民主化デモでは発生当初、「江沢民派と、その手下と言われている香港の梁振英行政長官が部隊を導入して武力弾圧を行う計画だったが、土壇場で習近平氏に阻止された」という政権内部からの情報があった。返還当初から香港の主導権を握ってきた江沢民派が香港を舞台に第二の天安門事件を作り、内外の圧力で習近平氏を退任に追い込む狙いだったという。
(翻訳編集・叶子)