中国では食品に対する抗生剤の使用が当たり前に行われるようになった結果、8割の児童の体内から抗生剤が検出されるという事態を引き起こしている。英タイムズ紙が24日に報じた。
このほど、上海の名門大学、復旦大学公衆衛生学院の研究チームの調査により、家畜用抗生剤の体内蓄積率が高い児童と、同抗生剤の体内蓄積率が低い児童を比較したところ、体内蓄積率の高い児童の方が、肥満になる確率が2~3倍高まり、特に女児よりも男児の方にその傾向が強まることが明らかになったと報じられた。また、8歳から11歳までの児童の3分の1の体内から、家畜に使用される抗生剤数種の存在が確認されたという。
同研究チームは、家畜用抗生剤が子どもの健康に与えるその他の影響についても、引き続き研究を続けていくとしている。
現在、中国は抗生剤の生産、使用ともに世界一で、世界の抗生剤の半分を消費している。中でも養豚・養鶏農家での抗生剤の乱用が深刻化しているため、昨年、中国科学院が中国東部と中部の河川の水質検査を行ったところ、水中から高濃度の抗生剤が検出された。
中国の別の研究チームは昨年、すでに家畜と人間の体内から、ほとんどの抗菌剤に耐性のあるスーパー細菌を発見している。このことは、これらの細菌に感染した場合に治療薬が存在しないことを意味している。
中国のSNS、微博(マイクロブログ)では、子育て中の中国人の多くが自身のやるせない気持ちを吐露している。子供の健康への影響を考えると心配でならないが、どこにも逃げ場がなく、なすすべもないと。
(翻訳編集・桜井信一)