中国の伝統文化を舞台芸術の形で再現するという神韻芸術団(本拠・ニューヨーク)のソウル公演は、5月はじめに開催される予定だが、韓国の主催者は2日の記者会見で、会場を提供する韓国放送公社(KBS)がこのほど契約を一方的に解消したことを明らかにし、公演を反対する中国政府がKBSに圧力をかけたためと主張している。
KBSはこのほど、「自社のホールで開催すべき公演ではない」との理由で、主催者側に会場使用の契約を破棄するという内容の通告書を送りつけ、公演広告の放送をも中止したという。
公演主催者の李昌植・代表は記者会見で、KBSサイドから得た情報として、中国大使館が同テレビ局に対して会場を提供しないようにと圧力をかけたことを明らかにし、「紛れもなく韓国に対する内政干渉だ」と批判した。李氏は今も続いているKBSとの交渉が最終的に決裂した場合、「司法の判断に委ねる」と訴訟を起こす意向を示した。
2011年1月のプサン公演でも、中国領事館から会場側に圧力がかかり、公演1週間前に中止に追い込まれたものの、裁判所が会場側に契約の履行を命じる判決を下したことで公演は予定通りに行われた。
日本を含む各国の主催者などによると、07年同世界巡回公演が始まった当初から、開催国にある中国在外公館は水面下で公演を阻止する活動を続けてきたが、KBSのように妥協する会場は非常に稀だという。
中国政府がなぜこれほど公演を快く思っていないのか。ニューヨーク在住の中国人学者、章天亮氏は大紀元本部の取材で次のように分析した。「『仁・義・礼・智・信』を重んじる中国の伝統文化は、『偽・悪・闘』に基づく中国共産党のイデオロギーと真っ向から対立している。国民をマインドコントロールするために文化大革命などを起こして伝統文化を破壊してきた共産党政権は、伝統文化の復興を志すこの公演を目の敵にしている」
10年1月の香港初公演は、舞台制作チーム全員のビザが交付されなかったため直前に中止となった。ある米下院議員は「中国政府はアーティストたちの舞踊、音楽と歌が政権の安定を脅かすと心配しているようだが、事実なら、彼らの政治体制はあまりにも脆弱すぎる」と中国側を皮肉った。
中国政府の思いと裏腹に、ニューヨーク、リンカーンセンターのデイビッド・H・コーク劇場では1月中旬の公演に続いて、今月2日から始まった12回の追加公演も連日満員となる盛況だ。今年4月19日から26日まで行われる日本公演を主催する一般社団法人古典芸術振興会の関係者は取材に対し、チケットの売れ行きは好調で、「完売を目指して、一人でも多くの日本人に鑑賞していただきたい」と話した。
(記者・洪梅、翻訳編集・叶子)